オートロック付きマンションで鍵を失くしたら、全室の鍵交換をするって本当？

エントランスにオートロックが付いているマンションなどの部屋の鍵を紛失すると、マンション内のほかの住人にも影響を及ぼす可能性があるため、戸建てよりも厄介な問題に発展することがあります。

ここではどのような点が厄介なのか、どのように対処したらいいのかということについて、説明していきます。

オートロック付きマンションの鍵を紛失したら、どのような危険が考えられる？

戸建ての鍵を紛失しても、自宅玄関の鍵を交換すれば問題は解決します。しかし、オートロックマンションの部屋の鍵を紛失してしまうと、そう簡単にはいきません。

何故なら多くのマンションでは、1本の鍵でエントランスのオートロックと部屋の玄関の鍵を開けることができるようになっているからです。

つまりオートロックマンションの部屋の鍵を紛失することにより、何者かがエントランスのオートロックを解除し、マンション内に侵入してくる危険が生じるということです。

鍵交換が大変！オートロックという鍵の難しさ

多くのマンションでは、エントランスのオートロックも部屋の玄関の鍵もまとめて1本になっているため、戸建てのように玄関の鍵だけを交換すると、新しい鍵ではエントランスのオートロックを開けることができなくなってしまいます。

つまり、玄関の鍵とエントランスの鍵を、それぞれ持ち歩かなければならなくなるということです。これでは非常に面倒ですね。またマンションによっては、セキュリティ保護のため、鍵の紛失時にはマンション内の全室の鍵をシリンダーごと交換しようとするところもあります。

そういった鍵の交換にかかる費用が、鍵を紛失した住人に請求されることが少なくありません。このようなところが、オートロックという鍵の難しい点です。

オートロック付きマンションの鍵を紛失して高額な鍵交換費用を請求されたら？

先ほども述べたように、自室の鍵を紛失しただけで、そのマンションのすべての部屋の鍵交換費用を請求されることがあります。

部屋数の少ないマンションであれば、なんとか費用を工面できるかもしれません。しかし何十部屋もある大きなマンションだと、数十万〜数百万円もの費用を請求されることが考えられます。

そこまで高額な費用は、そう簡単に用意できるものではありませんよね。このように無茶な金額を請求された場合でも、支払わなければならないのでしょうか？

オートロック付きマンションの鍵を紛失したら、全室の鍵交換費用を支払わなければならないの？

オートロック付きマンションの鍵を紛失した場合、全室の鍵交換費用を負担しなければならないのでしょうか？結論から言うと、負担しなくていい可能性が高いです。そもそもエントランスのオートロックは、万能な鍵ではありません。

なぜならマンションの鍵を持っていなくても、住人がエントランスを出入りする瞬間を狙えば、簡単にマンション内へ侵入できてしまうからです。

住人は「オートロックだから安全だろう」と油断している人が多いため、泥棒の中にはオートロック物件ばかりを狙う者もいるくらいです。オートロックが付いていても決して安全とは言えないので、高額な費用をかけて鍵交換をしても、あまり意味がないのが実情です。

それでもオートロック付きマンションの全室の鍵交換費用を請求されたらどうすればいいの？

オートロック付きマンションの鍵交換をしても、そこまで安全性が高まるものではないとは言え、「オートロックだからこのマンションを選んだんだ」という住人もいるでしょうし、現実問題として鍵を紛失した人に高額な請求をする貸し主はわりと存在します。

そこで、このようなケースに陥ったらどのように対応すればいいのか、ご説明します。

オートロックを鍵交換するのではなく、解除方法を暗証番号方式に統一してもらう

オートロックの中には、鍵以外に暗証番号でも解除できるタイプのものがあります。お住まいのマンションのオートロックがそのタイプに該当する場合、「解除方法を暗証番号方式に統一してもらえないだろうか」と相談してみましょう。

暗証番号は外部に漏らさないよう、住人がしっかりと管理する必要がありますが、もし外部に漏れても新しい暗証番号に変更するだけで済みます。多額な費用をかけて鍵を交換する必要はありません。

オートロックのシリンダーのみ鍵交換し、新たな鍵を全住人に配布するという手も

オートロックの解錠方法を暗証番号方式にするのが最もスマートで、再発も防げる解決策ですが、この解決策が受け入れてもらえない場合や、そもそもオートロックに暗証番号で解錠する機能が付いていないという場合もあるでしょう。

このような場合は、エントランスのオートロックの、キーシリンダーのみを交換するという解決策を提案してみましょう。オートロックのキーシリンダーを交換したら、それに対応する新たな鍵を全住人に配布します。

オートロックのキーシリンダーの交換にかかる費用や、鍵を住人の数だけ複製する費用は請求されるかもしれませんが、全部屋のキーシリンダーごと交換するのにかかる費用に比べれば、まだ安いものでしょう。

オートロック付きマンションのシリンダーのみ交換するデメリット

ただ、この方法にはデメリットがあります。それは、エントランスのオートロック用の鍵と、部屋の玄関の鍵が別々になってしまうので、合計で2本の鍵を持ち歩かなければならないということです。住人の中には、不満を抱いてしまう人もいるかもしれません。

オートロック付きマンションの鍵交換費用は、保険でカバーできる可能性が僅かながらもある

お住まいのマンションには、管理組合があるでしょうか？もし管理組合があるようなら、鍵紛失時の対応について検討し直してもらえないか、お願いしてもらいましょう。

鍵の紛失はほかの住人でも充分に起こり得ることですから、この機会に対応について検討し直しておいて損はないはずです。

また、管理組合が加入している保険で費用をまかなえる可能性もなくはありません。管理組合や管理会社に保険証券番号を尋ね、保険会社に問い合わせてみるといいでしょう。実際に保険が適用される可能性は低いのですが、最初から諦めて何もしないのはもったいないです。

オートロック付きマンションの鍵交換についての交渉では感情的にならず、穏便にお願いすること

何にせよ、全室の鍵交換費用の負担を免れるには、そのマンションの管理人や管理会社などと交渉する必要があります。交渉の場では焦りや不安から感情的になってしまいがちですが、口論に発展することのないように気をつけてください。

怒るのではなく、「とても困っているので、どうにか良い解決策を探してもらえないか」とお願いすることが大切です。怒りに任せるのではなくお願いする態度で交渉すれば、普通の人なら同情心や、「どうにかしてあげたい」という感情が芽生えてくるものです。

安易に「裁判を起こす」などと言ってはならない

この段階ではまだ「裁判を起こす」だとか、そのような言葉は軽々しく口にしてはいけません。このような発言は相手の神経を逆なでするだけではなく、場合によっては脅迫罪にあたる可能性もあります。

実際に裁判を起こせば勝つ可能性が高いのですが、それは最終手段です。裁判にかかる労力や、今後もマンションでの生活が続いていくことを考えると、まずは穏便に解決することを目指したほうがいいでしょう。

それでもオートロック付きマンションの鍵交換費用を負担させられそうなら、最終手段として法的手段をとる

今後の生活を考えると、できれば訴訟は避けたほうがいいでしょう。しかし、管理会社や管理人が折れてくれず、いよいよどうにもならなくなったら、法的手段に訴えるしかありません。

お住まいのエリアを管轄している宅建協会や弁護士に相談するといいでしょう。鍵を1つ紛失しただけで住人個人に高額な請求するのは、常識的とはとても言い難いため、住人側が裁判で負ける可能性は低いです。

よって、逆に管理会社や管理人のほうから「訴訟を起こします」と脅すようなことを言われても気にする必要はありません。むしろ訴訟になると、鍵を紛失しただけの住人に高額請求をする不当性が浮き彫りになり、事が有利に運ぶ可能性が高いです。

オートロック付きマンションの鍵交換で裁判にまでなったら、そこに住み続けるのは大変かもしれない

ただ、管理人との関係は十中八九悪くなるでしょうし、そのマンションに住み続けるのが苦痛に感じるようになるかもしれません。裁判をすることになったら、ほかの物件に引っ越す覚悟を持っておいたほうがいいでしょう。

オートロック付きマンションの鍵交換費用を恐れて、鍵の紛失を隠すのは絶対NG!

全室の鍵交換費用を負担させられることは、ほぼないということをご説明しました。ただ最悪の場合、法的手段に頼らなければならないとなると、面倒に感じる人が多いでしょう。

しかし、鍵を紛失したことを隠すのは許されません。賃貸物件では鍵を紛失した場合、管理会社や大家さんに連絡する必要があります。主な理由は、以下の二つです。

• 管理会社や大家さんが合鍵を持っていれば、玄関の鍵を開けてもらえるから。
• エントランスのオートロックはさておき、部屋の玄関の鍵はセキュリティ上必ず交換する必要があるから。

部屋の玄関の鍵は、勝手に交換してはいけないことになっています。賃貸物件で鍵を交換する場合、管理会社や管理人が業者を手配するのが一般的です。鍵は貸し主の所有物という扱いなので、勝手に交換することは許されないのです。

自分で好きな業者に依頼したい場合は、まず管理会社や管理人の許可を取らなければなりません。また非常時のために、鍵を交換したら新しい合鍵を管理人や管理会社に渡しておく必要があります。したがって、鍵を紛失した場合は隠さず正直に申告するようにしましょう。

オートロック付きマンションの自分の借りている部屋の鍵交換代は自分で負担しよう

ここまででご説明してきたとおり、マンションエントランスのオートロックの鍵を紛失したとしても、全室の鍵交換費用を個人で負担する必要が生じることはほぼありません。ですが、自室の部屋の鍵交換費用は誰が負担するのでしょうか？

結論から言うと、自室の鍵交換費用は鍵を紛失した住人が負担するケースがほとんどです。入居や退去で鍵交換をする場合はまた別ですが、鍵の紛失は自身の過失によるものですし、1部屋の鍵を交換するくらいであればそこまで高額な費用はかからないので、自分で費用を負担することになります。

オートロック付きマンションの全室の鍵交換費用は住人に請求できない！貸し主側が気をつけることとは？

オートロックの鍵を紛失した住人が、全室の鍵交換費用を負担する必要はまずないということをご説明しました。貸し主さん側の立場だと、いまいち納得できないかもしれません。しかし住人に全室の鍵交換費用を請求するのには、以下のようなデメリットがあります。

• 誰かが鍵を失くすたびに高額な請求をするのは大変だし、住人からの心象が悪くなる。
• 高額な請求を恐れて、鍵を失くしても報告しない住人が出てくる。
• そもそもオートロックは万全ではない。費用対効果が見込めない。

借り主側だけではなく、貸し主側にもデメリットが多いことがわかります。そこで、鍵を紛失した人に高額請求するのではなく、下記でご紹介する対策を取られてみてはいかがでしょうか？

オートロック付きマンションの鍵交換をする必要のないよう、日頃から住人に注意喚起する

そもそも最初から鍵の紛失を防ぐことができていれば、頭を悩ませる必要はないのです。鍵を厳重に管理するようにと、日頃から住人に注意喚起しておくことが大切です。

ただ、いくら住人の危機管理意識を向上させたところで、鍵の紛失回数が減ることはあれど、0回になるこということは期待できないでしょう。ほかの対策も併せて実行することをおすすめします。

特定されにくい鍵を採用し、オートロック付きマンションの安全性を高める

鍵にマンション名を記載したり、特徴のあるデザインの鍵を採用したりすると、住人が落とした鍵を拾った人に、どこのマンションの鍵かということを特定される可能性が高まります。鍵にはマンション名を記載せず、できるだけ特徴的なデザインは避けるなどして、外部の人から特定されにくくしましょう。

オートロックの解除方法を暗証番号方式に統一すると、鍵を失くしても鍵交換の必要がなくなる

最も確実でおすすめの方法です。暗証番号方式なら、解除するための鍵を持ち歩く必要がありません。

住人の中には暗証番号をメモした紙を落としてしまう人もいるかもしれませんが、その場合でも鍵を交換する必要はなく、暗証番号を変更するだけで解決することができます。暗証番号を定期的に変更すれば、より安全性が高まるでしょう。