鍵交換のお悩みを解決
このページで分かること
侵入窃盗犯(空き巣)は玄関だけでなく、サッシ窓からも侵入します。また、サッシ窓の鍵は経年劣化でグラつくことも……。
防犯のためにもサッシ窓の鍵の点検と交換をしておきましょう。このページではサッシ窓の鍵交換や防犯対策について、ご説明します。
普段、何気なく開け閉めしているサッシの窓の鍵ですが、どのようなしくみになっているのでしょうか。
サッシ窓に使用されている鍵は「クレセント錠」と言います。「クレセント」とは「三日月」のことです。サッシの窓に付いている鍵をよく見てみると、グルッと回す部分が三日月のような形になっていることがわかります。この形から「クレセント錠」と命名されたそうです。
クレセント錠には、「右勝手」と「左勝手」があります。
サッシ窓は「引き違い窓」と言って、2枚のガラス戸を左右にずらせて開けるようになっていますが、クレセント錠が左右どちらのガラス戸についているかによって「右勝手」と「左勝手」に分けられます。
右勝手 | 2枚のガラス戸のうち、室内から外を見て右側のガラス戸が手前にあり、クレセント錠が右側のガラス戸に錠がついている場合 |
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左勝手 | 2枚のガラス戸のうち、室内から外を見て左側のガラス戸が手前にあり、クレセント錠が左側のガラス戸に錠がついている場合 |
また、クレセント錠にはネジ穴が見える「カバーなし」のタイプと、ネジ穴が見えない「カバーあり」のタイプがあります。
クレセント錠を交換する際は、どのタイプかを確認してから購入するようにしましょう。
「サッシの鍵が劣化するの?」と思う人が多いかも知れませんね。「鍵の劣化」とはどんな状態なのか、ちょっとイメージができないでしょうが、鍵も劣化していきます。
クレセント錠に次のような症状が見られたら、劣化しているサインだと言えます。
特にしっかり閉まらない、いつの間にかクレセント錠が下がっている……などの症状は防犯の面でも放置しておくと危険です。
早めに交換しましょう。
サッシ窓の鍵がゆるくなったり、固くなったりしても、「ちょっと不便だけど、面倒だからこのまま使おう」と考えてしまいがちです。
しかし、窓は侵入窃盗犯(空き巣)の侵入経路になるため、きちんと対策を取っておきましょう。
警察庁が発表している「犯罪情勢」(平成28年版)によると、侵入窃盗犯(空き巣)の手口と発生件数は次の通りです。
手口 | 平成24年 | 平成25年 | 平成26年 | 平成27年 | 平成28年 |
---|---|---|---|---|---|
無締まり | 15,441 | 14,040 | 12,224 | 11,049 | 10,183 |
ガラス破り | 20,129 | 18,823 | 14,966 | 14,084 | 11,249 |
施錠開け(合鍵) | 2,703 | 2,392 | 2,013 | 2,061 | 1,841 |
施錠開け(特殊開錠用具関係) | 248 | 189 | 152 | 155 | 117 |
施錠開け(その他の施錠開け) | 647 | 584 | 482 | 478 | 400 |
ドア錠破り | 885 | 1,127 | 1,050 | 886 | 850 |
戸外し | 217 | 211 | 177 | 148 | 146 |
「無締まり」(鍵を閉めていない)ケースと「ガラス破り」が多いことがわかります。
さらに、侵入窃盗犯の侵入経路を見てみると、一戸建ての総発生件数の約62%は窓からとなっています。
(平成28年犯罪情勢)
侵入経路 | 発生件数 | 割合(※) |
---|---|---|
窓 | 10,881 | 61.9% |
表出入口 | 2,598 | 14.7% |
その他の出入り口 | 2,431 | 13.8% |
非常口 | 10 | 0.05% |
不明 | 1,350 | 7.6% |
(※:全発生件数17,576件に対する割合を示しています)
共同住宅でも3階建て以下の場合は、発生件数のうち約58%が窓からの侵入となっています。一方、4階建て以上の共同住宅の場合は窓からの侵入は全体の37.6%で玄関からの侵入の方が多くなっています。
このことからも、一戸建てや3階建て以下の住宅にお住まいの方は、玄関の鍵だけでなくサッシ窓の鍵の点検もしておくといいでしょう。
侵入窃盗犯の手口の表からもわかる通り、窓から侵入する場合の方法では「無締まり」と「ガラス破り」が多く見られます。
「無締まり」とは鍵が閉まっていない状態のことで、泥棒に「どうぞ、お入りください」と言っているようなものです。
玄関の鍵の場合はピッキング犯罪によって玄関ドアや鍵穴などを傷つけずに開錠して侵入されるケースがあります。この場合、「空き巣に入られた!」と思っても、鍵が壊されていないために「もしかして自分の不注意で無施錠だったのかも知れない」と思い込んでしまい、「無締まりでの犯罪」と結論づけられることがあります。
しかし、サッシ窓の場合はピッキングはできません。それでも窓ガラスを割らずに侵入したという場合は、閉めたはずのサッシ窓の鍵がゆるんで、いつの間にか無施錠と同じ状態になっている可能性があります。
ガラス破りは文字通り、窓ガラスを割ってサッシ窓の鍵を手で開けて侵入する手口です。「ガラスを割ると音がするから、泥棒は躊躇(ちゅうちょ)するんじゃない?」と思うかも知れませんが、実はプロは音を出さずに窓ガラスを割って侵入します。
ドライバーで窓ガラスにひび割れを入れたり、アイスピックを突き刺してクレセント錠のレバーを動かして開錠したり、さらにはガスバーナーで窓ガラスを焼いて音を出さずに割ったり……。あの手この手で侵入してきます。
このような方法があるということを理解した上で対策を取る必要があります。
空き巣に狙われないためにも、ゆるくなった鍵は新しいものに交換するとか、補助錠を付けて防犯対策を行いましょう。
サッシ窓の鍵は玄関ドアの鍵ほど複雑ではありません。窓枠にネジで固定しているだけなので、ネジを外せば交換ができます。
サッシ窓の鍵はたびたび壊れるというものではありません。そのために家を建てたときのまま一度も交換していないというケースがほとんどです。
建築時から何年も経過していると、同じ型番の鍵がもう廃盤になっていて入手できない可能性があります。
その場合は、同じサイズのものを探してみましょう。
サッシ窓の鍵は、次の3点のサイズを確認してください。
ビスピッチ | 鍵を固定している上のネジ(ビス)穴と下のネジ(ビス)穴までの距離 |
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高さ | 鍵の取り付け部分から鍵が何cm離れているかという高さ(立ち上がり) |
引き寄せ寸法 | 鍵の取り付け部分の中心から三日月型の山の部分までの長さ |
特に大切なのは「ビスピッチ」です。サッシ窓の鍵を外したら、同じネジ穴を使って新しい鍵を固定しなければなりません。そのため、ビスピッチは同じサイズの鍵を選ぶようにしましょう。
もし似たようなサイズの鍵が見つからないとか、ネジが固くて取り外せないという場合は、鍵の専門業者に相談しましょう。
サッシ窓の鍵を新しいものに交換しても、窓ガラスを音もなく割られると防ぎようがありません。そこで役立つグッズをご紹介します。
ダイヤル式の鍵 | 従来のクレセント錠ではなく3ケタの暗証番号で開錠するタイプのダイヤル式の鍵。ガラスを破って手で鍵を開けようとしても、暗証番号がわからないと鍵が開けられない |
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補助錠 | 現在のクレセント錠に加えて、新たに補助錠を設置して防犯機能を高める方法。サッシ窓の下部などに取り付けることで、クレセント錠は開けられても窓は開けられない |
クレセント錠を保護するプレート | クレセント錠が設置されている部分の窓ガラスにプレートを貼ることで外から開錠できないようにする。プレートは外から見ると防犯ステッカーになっているので、より効果的 |
防犯フィルム | 窓ガラスに防犯フィルムを貼ることで、ガラス破りを防ぐことができる |
このようにさまざまなグッズがあるので、上手に活用するといいでしょう。
サッシ窓の鍵は新築当時のまま何年も交換していないという人が多いのではないでしょうか。しかし、サッシ窓の鍵も劣化していき、固くなったり、ゆるくなったりします。特にゆるくなる場合は、いつの間にか鍵が開いてしまうことがあり、防犯の面でも不安が残ります。
サッシ窓の鍵は「クレセント錠」と呼ばれるもので、同じサイズのものがあれば自分で交換することができます。
ただ、空き巣は窓からの侵入が多いため、鍵交換だけでなく、補助錠や防犯プレートなどを活用して犯罪防止に努めるようにしましょう。