鍵交換のお悩みを解決
侵入窃盗犯罪の手口で多かったのは「ピッキング」です。これは鍵穴に針金のような特殊な工具を入れて鍵を開ける手法です。
ピッキング犯罪は鍵の改良などが進み、発生件数は減少しています。しかし、ピッキングよりも怖い「カム送り解錠」という手口があります。
今回はカム送り解錠の特徴と対策についてご説明します。
まずカム送り解錠とはどのような手口なのか、見てみましょう。
玄関の鍵を開ける手法としては「ピッキング」がよく知られています。しかし、それよりも恐ろしいのが「カム送り解錠」です。
ピッキングは鍵穴に特殊な工具を差し込んで、鍵と同じように中のピンを動かして開錠する手口です。
特殊な工具と書きましたが、ヘアピンの先端を少し曲げただけでも鍵を開けることができます。しかも、鍵穴が壊れることはなく、ドアに傷もつきません。
そのため、帰宅した人は「自分が鍵を閉め忘れたのかも?」と思うほど巧妙な手口です。
カム送り解錠は、別名を「バイパス解錠」と呼びます。ピッキング同様、針金のような細い工具を使いますが、鍵穴に差し込むわけではありません。その工具を鍵穴のまわり(シリンダーカラーと呼びます)とドアの間のわずかなすき間に差し込んで、鍵を開けてしまいます。
そのため、ピッキング対策を施した鍵でも開けることができます。
カム送り解錠の対策としては、次の4つの方法があります。
まず簡単にできる方法としては、シリンダーカラー(鍵穴がある丸い部分)とドアのすき間をふさぐのが有効です。
屋外側からシリンダーカラーを一度取り外して、スペーサーという丸いリングタイプの部品をはめ込みます。その後、もう一度シリンダーカラーを設置すれば、すき間がなくなるのでカム送り解錠用の工具を入れることができません。
一方、室内側からできる対策もあります。これは一度鍵ケースを取り外してカム送り解錠を防止するプレートを設置し、その後鍵ケースを取り付けるという方法です。
この方法もすき間がなくなるので、工具を差し込むことができません。また、上記のスペーサー設置よりも防犯効果が高いと言われています。
既存の鍵はそのまま何も対策をせずに、もう1つ鍵を取り付ける方法です。これは「1ドア2ロック」と言って、防犯目的で多くのドアに採用されています。
補助錠には開錠しにくいディンプルキーや電子キー(ICカードやリモコンキー、携帯電話などで開錠するもの)がおススメです。
もし仮に既存の鍵が開錠されても、もう1つの鍵を開けるのに手間取ってしまいます。泥棒は時間がかかる家は嫌がるので、その段階で退散してしまうでしょう。
ピッキング被害に遭いやすいのは「シリンダーキー」という古いタイプの鍵です。また、カム送り解錠ができる鍵の型番などもわかっています。
そこで、これらの鍵を設置している場合は、最新式で防犯性能が高い鍵に取り換えてしまう方法がおススメです。
最近は便利で防犯性能に優れた鍵がたくさん出ているので、ご家庭の状況に合わせて使いやすいものを選ぶといいでしょう。
ピッキングやサム送り解錠の他にも犯行の手口があり、中には窓ガラスを割って鍵を開ける方法、ドア板や窓枠そのものを取り外す「戸外し」など荒っぽい手口もあります。
侵入窃盗犯でよく見られる主な手口を警察庁が発表している「犯罪情勢(平成28年)」から見てみましょう。
下記は侵入窃盗犯の中でも、住人が不在時に侵入する「空き巣」における手口とその数です。(一戸建て、共同住宅のすべての発生件数を示しています。)
手口 | 件数 |
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無締まり | 10,183件 |
ガラス破り | 11,249件 |
合鍵 | 1,324件 |
特殊開錠用具 (ピッキングやカム送り解錠など)/th> | 117件 |
ドア錠破り | 850件 |
戸外し | 146件 |
無締まりとは「鍵の閉め忘れ」や「無施錠」のことを指しますが、実際にはピッキングなどの被害に遭っていても「自分で鍵を閉め忘れた」と思っているケースがあると考えられます。
また、合鍵は家族が帰宅したときに使えるように郵便受けなどに合鍵を入れていて、それを使って侵入する手口のことです。
カム送り解錠が多発したときは、被害に遭いやすい鍵の型番を警察庁が公開するなど社会的にも注目を集めました。また、鍵メーカーも防犯対策に取り組み、犯罪が起こりにくい鍵の開発などを進めています。
例えば「ディンプルキー」は、従来の鍵よりも構造が複雑なためピッキングされにくいことがわかっています。
しかし、泥棒も次々と新たな手口を考え出すため、犯罪が完全になくなるわけではありません。
泥棒はあの手この手で侵入しようとします。鍵が開かない場合は、ドアのすき間にバールなどの工具を無理やり差し込んでドアをこじ開ける「ドア破り」や、窓ガラスを音もなく割って鍵を開けるガラス破りなどの大胆な犯行を行います。
鍵穴があるドアは、泥棒が「これなら何とか開けられるかも」と思い犯行に挑みます。しかし、第一印象で「この家は無理だな」と思ったら、違う家をターゲットにします。
そこで、「この家は手ごわい」と思われるような鍵に交換してみましょう。交換するなら次のような鍵がおススメです。
リモコンキー | 自動車のキーのようにリモコンキーのボタンを押すと鍵が開くタイプ。リモコンキーを操作しなくても、ドアに近づくだけで開錠するタイプもある |
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ICカードキー | Suicaなどの鉄道系カードと同じようにICチップ内蔵のカードキーをドアノブにタッチすると開錠する |
暗証番号キー | 事前に設定した暗証番号を入力すると開錠する |
指紋認証キー | 事前に登録した指紋を感知して開錠する |
おサイフケータイ | おサイフケータイ機能付きのスマートフォンをかざすことで開錠する |
ICシールキー | ICチップ内蔵のシールを貼った携帯電話やキーホールダーなどをドアキーにタッチすると開錠する |
上でご紹介した最新式の鍵は、すべて鍵穴がありません。ピッキング犯罪は鍵穴から工具を差し込んで鍵を開ける犯行なので、それだけでも犯罪を防ぐ効果があると言えます。また、ドアと鍵のシリンダー部分のすき間がないので、カム送り解錠を防ぐことができます。
新しい鍵を導入する方法としては、既存の鍵をそのままに新しい鍵を追加で付ける方法と、既存の鍵を取り外して新しい鍵に交換する方法、さらにはドアごと取り換える方法があります。
ただし、どれも費用がかかります。鍵交換の費用の目安は、次の通りです。
既存の鍵はそのままで新しい鍵を補助錠として設置 | 約2万円~4万円 |
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既存の鍵を取り外して新しい鍵を設置 | 4万円~5万円 |
ドア板ごと取り換える | 10万円~30万円 |
なお、新しい鍵を追加する場合にはドア板にドリルで穴を開けるタイプと粘着シールなどで貼り付けるタイプがあります。ドア板に穴を開ける場合は専門業者に依頼しなければなりませんが、外から貼り付けるだけなら自分でもできるでしょう。ただし、うまく機能するかどうかが問題です。
こういったことを考慮すると、費用はかかっても専門業者に依頼する方が安心だと言えます。
ピッキング犯罪よりも巧妙に鍵を開ける手口として、「カム送り解錠」があります。これは鍵穴ではなく、鍵のシリンダーカラーとのすき間に工具を差し込んで鍵を開ける手法です。
最近では被害は減っていますが、古いタイプの鍵を使っている場合は、さまざまな犯罪被害を防ぐためにも新しい鍵に交換するといいでしょう。
最新式の鍵は鍵穴がなく、防犯性能に優れています。家庭の状況に合わせて使いやすいものを選んでみてください。