鍵交換のお悩みを解決
賃貸住宅を所有する管理人にとって安全対策や防犯は大きな課題です。入居者が犯罪の被害に遭わないように、細心の注意と対策が必要です。
このページでは、賃貸住宅の防犯対策としての鍵交換と補助錠設置についてご説明します。
賃貸住宅、特にマンションやアパートなどの共同住宅では、管理人による防犯対策が欠かせません。
そこで、まず賃貸住宅(共同住宅)での犯罪発生件数や傾向について見ていきましょう。
警察庁が発表しているデータによると、共同住宅での侵入窃盗犯罪の発生件数は下記のようになっています。(共同住宅には賃貸だけでなく分譲のマンションも含まれます。)
ちなみに「空き巣」は住人が留守中に侵入すること、「居空き」は住人が在宅していてリビングなどでにぎやかに過ごしている時間にこっそり寝室などに侵入すること、「忍び込み」は住人が在宅中だが寝入っている間などに気づかれないように侵入することを指します。
平成25年 | 平成26年 | 平成27年 | 平成28年 | |
空き巣 (4階建て以上) |
3,866件 | 3,306件 | 3,048件 | 2,612件 |
空き巣 (3階建て以下) |
10,448件 | 9,412件 | 8,451件 | 6,870件 |
忍び込み (4階建て以上) |
792件 | 499件 | 443件 | 452件 |
忍び込み (3階建て以下) |
1,679件 | 1,373件 | 1,211件 | 1,080件 |
居空き (4階建て以上) |
254件 | 228件 | 199件 | 153件 |
居空き (3階建て以下) |
506件 | 423件 | 412件 | 323件 |
(警察庁「犯罪情勢」平成28年版)
上の表からもわかる通り、3階以下の建物では空き巣も忍び込みも居空きも4階建て以上の3倍前後発生しています。
それだけ侵入しやすいということが言えます。また、3階建て以下の共同住宅の侵入窃盗犯の手口の内訳は次の通りです。
手口 | 方法 | 発生件数 |
---|---|---|
無締まり | 鍵の閉め忘れ | 2,997件 |
ガラス破り | サッシ窓やガラス戸を音を立てないように割って鍵を開ける方法 | 2,384件 |
ピッキング | 鍵穴に針金などを差し込んで鍵を開ける方法 | 7件 |
サムターン回し | ドアにドリルなどで穴を開けて、室内側の鍵(サムターン)を回す方法 | 46件 |
合鍵 | 郵便受けなどに隠していた合鍵を見つけて侵入する方法 | 531件 |
ドア錠破り | ドアのすき間にバールなどを差し込んで破壊して侵入する方法 | 89件 |
戸外し | 窓枠や玄関ドアを外して侵入する方法 | 57件 |
その他 | – | 153件 |
(警察庁「犯罪情勢」平成28年版)
上の表でもっとも多い手口は「無締まり」です。これは住人が鍵をかけずに出かけていて泥棒が侵入したということなのですが、実際は鍵はかけていたのに犯人がこっそり鍵を開けて侵入している可能性があります。
ピッキング犯罪は鍵穴から針金などの特殊な道具を差し入れて数秒で開錠する方法です。犯人がもしピッキングをしていても、帰宅した住人はそれが犯行なのか、自分の鍵の閉め忘れなのかが判断できません。
実際にそんなに多くの人が鍵をかけずに出かけるとは考えにくいので、ピッキング犯罪の可能性も視野に入れて防犯対策を取るといいでしょう。
なお、無締まりには「ちょっとゴミ出しに……」と言って無施錠で出かけるケースもあります。ほんの2~3分の無締まりでも犯罪につながることがあるので、注意しましょう。
では、賃貸住宅(特に共同住宅)の防犯対策には、どのような方法が有効なのでしょうか。
考えられるのは、次の2つです。
鍵には次のような種類があります。特徴と防犯性能を比較してみましょう。
鍵の種類 | 特徴 | 防犯性能 |
---|---|---|
シリンダーキー | 鍵の側面にギザギザがあるタイプ。構造が単純でピッキングされやすい | 低い |
ディンプルキー | 鍵の表面に凸凹のくぼみがあるタイプ。構造が複雑でピッキングされにくい | 高い |
スマートキー (電子キー) |
ICカードやリモコンキー、おサイフケータイ機能付きのスマートフォン・携帯電話、暗証番号などで開錠するタイプ。鍵穴がないので防犯性能は優れているが、設置費用が高い | 高い |
このように従来のギザギザした鍵で開けるシリンダーキーはピッキング被害に遭いやすいので、防犯性能が高い鍵に交換するのがおススメです。
賃貸住宅で最新の鍵に交換するのは費用がかかるという場合は、補助錠を付ける方法があります。
これは現在の鍵はそのまま残しつつ、もう1つ鍵を設置するという方法です。設置する鍵は、上でもご紹介したように防犯性能が高いディンプルキーやスマートキーの後付けタイプがおススメです。
ただ、補助錠の種類によっては、ドア板に穴を開ける必要があります。設置可能な鍵かどうかを事前によく確認しましょう。
国土交通省は共同住宅での侵入窃盗犯対策として、平成13(2001)年に「防犯設計指針」を策定し、対策を推奨しています。
「防犯設計指針」は、共同住宅の防犯性を高めて良質な住宅をストックすることを目的に作られました。新築・既存の共同住宅が対象です。
主な内容としては、下記のそれぞれの場所において「見通しがいいこと」「照明器具で一定以上の明るさを確保すること」「必要に応じて防犯カメラを設置すること」などが指針として示されています。
なお、これらは指針であり、強制するものではありません。
この「防犯設計指針」では、専有部分の鍵や玄関ドアに関して、次のように示しています。
玄関扉 | ・玄関扉はスチール製などの破壊が困難な材質のものにする ・デッドボトル(かんぬき)が外部から見えない構造にする(見える場合はガードプレートなどを設置する) |
---|---|
玄関扉の鍵 | ・鍵はピッキングが困難な構造のものを使用する ・面付箱錠(※1)や彫込箱錠(※2)など破壊が困難な構造のものを使用する ・主錠のほかに補助錠を設置する ・ドアスコープやドアチェーンを設置する |
窓 | ・バルコニーに面するもの以外は面格子などを設置して侵入防止に努める ・バルコニーに面する窓には錠付きクレセントや補助錠を設置する |
(面付箱錠(※1)、彫込箱錠(※2)はどちらも防犯性能が高いと言われています。)
このように国土交通省が示している「防犯設計指針」でも、破壊されない材質のドアやピッキングされにくい鍵の設置、また補助錠を設置することをすすめています。
もし防犯対策が不十分だと思われる賃貸住宅(共同住宅)は、早めに上記のような対策を進めるようにしましょう。
賃貸住宅に入居する人が防犯対策に不安がある場合は、管理人の許可を得てから補助錠の設置などを行うといいでしょう。
ただし、ドアに穴を開けることや、ドア板ごと取り換えることなどは勝手に進めることはできません。管理人さんに相談してみましょう。
賃貸住宅の中でも3階建て以下のアパートやマンションなどの共同住宅では、侵入窃盗犯罪が多く発生しています。
留守を狙う空き巣だけでなく、在宅中に侵入する居空きや忍び込みは犯人に見つかると危害を加えられる恐れがあります。
まずは侵入を防ぐために、防犯性能が高い鍵に交換しましょう。新しい鍵の設置が難しい場合は補助錠を設置することも有効な方法です。このような防犯対策は国も推奨していることなので、管理人は所有する物件を今一度見直してみてください。
入居者から補助錠の設置を求めることもできるので、相談してみましょう。