雨漏りのお悩みを解決
このページで分かること
賃貸物件で雨漏りが発生したら、何をすればいいのでしょうか。
入居者(借主)と大家さん(貸主)それぞれの立場でご説明します。
なお、このページでは借主のことを「入居者」、貸主のことを「大家さん」としていますが、賃貸物件によっては雨漏りの対応は管理会社が行う場合もあります。
まずは入居者の立場で見ていきましょう。
入居者は雨漏りに気づいたら、まず次の3つをやっておきましょう。
では、ひとつずつ見ていきます。
雨漏りを放置しておくと、床が水浸しになってしまいます。
その結果、フローリングが濡れてカビが発生したり、雨水が多い場合は階下に漏水したりします。
また、壁を伝って雨漏りする場合は、壁紙(クロス)が濡れてシミやカビの原因になります。
雨漏りの原因はさまざまですが、まずは雨水をバケツなどで受けるようにしましょう。床にビニールシートを敷いて、雨水が広がらないようにすることも大切です。
雨漏りは屋根に大きな穴が開くなどではない限り、いきなり大量の雨水が落ちてくることはありません。最初はポツンポツンとしずくが落ちるような雨漏りから始まります。その段階でバケツや洗面器などで雨水を受けて、被害が拡大しないように心がけましょう。
雨漏りの状況を言葉で伝えようと思っても、相手はなかなか理解してくれないということがあります。また、同程度の雨漏りでも、人によっては「ものすごい雨漏りがした」と誇張して説明することもあれば「大した雨漏りではないんですけど…」と遠慮がちに説明することもあります。それでは正確に伝えることができません。
写真や動画で撮影しておけば、誰が見てもどんな程度の雨漏りだったのか、どこからどう漏れているのかがわかります。
写真や動画は雨漏りの原因を突き止めるときにも役立つので、スマホや携帯電話、デジタルカメラなどで撮影しておきましょう。
まずは応急処置としてバケツやビニールシートで雨漏りを受ける対策をして、すぐに大家さんや管理人さんに連絡をしましょう。
管理人が同じ建物内に住んでいる場合は、見に来てもらうのもいい方法です。いずれにしても、あまり長い期間を開けずに早めに連絡をして点検や修繕をしてもらいましょう。
賃貸住宅の雨漏りの修繕は、大家さんや管理会社が行うよう義務づけられています。もし入居者が勝手に修繕を業者に頼んだ場合、後日その修理費用を大家さんに請求しても出してもらえない可能性があるので注意しましょう。
賃貸物件の雨漏り修理を大家さん(貸主)が行うということは、民法606条で規定されています。
なお、貸主に連絡して、「一定期間何の対策も取ってもらえない場合」と「急迫した場合」に限り、借主(入居者)が修繕をしてもいいということになっていますが、後々のトラブルを避けるためにも、必ず大家さんに連絡をしましょう。
賃貸住宅の貸主(大家さん、管理会社)は、入居者から雨漏りの連絡を受けたらすぐに状況を確認しましょう。
大家さん・管理会社は雨漏りを知ったら、次のことを行いましょう。
入居者は雨漏りが起こって不安になっています。雨漏りの連絡を受けたら、少しでも早くに状況を見に行きましょう。
特に「寝る場所がない」「布団が濡れてしまった」など生活での不便がないか聞いてあげると安心されます。
また、駆け付けたときにすでに雨漏りが収まっていても、「大したことはないですね」などと口にするのは控えましょう。もし写真や動画を撮影していたら、それを見て状況を確認します。
カーペットが濡れて生活できないなどの被害があれば、貸主側が張替えを行います。雨漏りの修繕以外で弁償すべきことがないかをよく確認しましょう。
雨漏りは原因をよく解明して、適切な修理をすれば収まるはずです。しかし、その場しのぎの修理では、次に激しい雨が降ったときにまた雨漏りを繰り返します。
そうならないように、信頼できる業者や雨漏り専門業者に点検と修理をお願いしましょう。特に梅雨時や台風シーズンは、早く修繕しないとまた雨漏りが起こります。入居者との間でトラブルにならないように早めに進めることが大切です。
なお、入居者の過失による雨漏りでない限り、修繕費用は貸主が負担します。
雨漏りが直接の原因となってケガをすることは少ないかも知れません。しかし、濡れた床ですべってケガをしたり、雨漏り後に発生したカビでぜん息になったり……ということがあります。状況によっては見舞金が必要になることもあるので、健康状況も聞いておきましょう。
(雨漏りと病気やケガの因果関係が明らかにできないケースもあります。安易に「見舞金を出す」とは言わずに、状況を聞いてみましょう。「心配してくれた」というだけでも、入居者の気持ちはやわらぎます。)
雨漏りが原因で電化製品が壊れたり、布団が濡れて使えなくなったりした場合は、基本的に貸主が賠償責任を負うことになっています。
ただし、新しい物を購入するというわけではなく、同程度の品を購入できる金額で弁償するということになります。そのため、雨漏りで壊れた品が5年前の物ならば、それと同程度の品を今購入する金額で支払うということです。
5年前は10万円した物でも、今は5万円で購入できるという場合は、5万円分を弁償すればいいということになります。
平成29年に民法が改正され、雨漏りの通知を受けたのに貸主が何の対応もしない場合は、借主(入居者)が修繕依頼をしてもいいということになりました。
その際の修繕費用は貸主負担になります。高額な修繕費用を請求される可能性もあり、トラブルの元になります。
入居者から雨漏りの連絡を受けたら、速やかに対応することが大切です。
賃貸住宅の建物に関しては、貸主側が火災保険に加入しています。雨漏りも原因によっては、火災保険で補償を受けることができます。
建物の老朽化や入居者の過失(風呂の水をあふれさせて階下に漏水したとか、ベランダの排水口をふさいで雨水があふれたなど)による雨漏りは火災保険の対象外ですが、自然災害による雨漏りの被害は火災保険で補償されます。
下記の原因で起こる雨漏りは、火災保険で補償されます。
また、入居者が火災保険(家財保険)に加入している場合は、それで家具などの補償を受けてもらうことができます。火災保険の内容を確認してみましょう。
アパートなどの賃貸住宅で雨漏りがした場合、入居者(借主)は被害が広がらないようにバケツやビニールシートで雨水を受けます。そして、大家さん(貸主)に連絡をしましょう。証拠を残すために、雨漏りの様子を写真や動画で撮影すると安心です。
一方、貸主である大家さんや管理会社は、雨漏りの連絡を受けたらすぐに状況を確認し、なるべく早くに修繕を行います。雨漏りの点検や修理は貸主に課せられた義務なので、日ごろから点検修理などの対策を取っておくことが大切です。
入居者の過失による漏水以外は、貸主が修繕費用を負担します。
なお、雨漏りの原因が台風や竜巻、雹(ひょう)、雪災などの場合は火災保険で補償されます。
賃貸住宅では雨漏りをめぐるトラブルが決して少なくはないので、お互いにやるべきことを理解してスムーズに解決できるように進めましょう。