外壁塗装のお悩みを解決

外壁塗装の苦情はどこに相談すればいい?クーリングオフと契約解除について

外壁塗装の苦情はどこに相談すればいい?クーリングオフと契約解除について

外壁塗装は大切な家を守るために必要なことですし、100万円前後の費用がかかります。信頼できる業者に依頼したいものですが、トラブルになった場合、契約の取り消しはできるのでしょうか。

今回は外壁塗装の苦情の相談先や契約の取り消しについてご説明します。

外壁塗装でよくある苦情

外壁塗装でよく発生するのは、次のような苦情・トラブルです。

  • 工事期間が長引く
  • 塗装の仕上がりに関すること
  • 塗装以外の苦情
  • アフターフォローに関すること
  • 費用に関すること

外壁塗装の苦情~業者の対応は?

それぞれの苦情に対して、業者はどのような対応を取っているのでしょうか。

工事期間が長引くこと

工事期間が長引くことは、天候の影響などがあるため仕方ない部分があります。また、業者も数をこなさないといけないので、1軒の工事をむやみに長引かせることはそれほど多くありません。

事前に工程の説明をよく聞いて、日程は余裕を持ってみておきましょう。

塗料の仕上がりに関すること

塗料の仕上がりに関しては、「色がイメージと違う」というケースと、「塗りムラや塗り忘れがある」というケースが多いようです。

色のイメージが違うという場合、塗り直しには対応できないと考えておきましょう。打ち合わせの段階で、大きいサイズの色見本を見せてもらうとか、日光の下で色見本を確認するなどの工夫をして、しっかり色のイメージをつかむことが大切です。

一方、塗りムラや塗り忘れは業者側のミスなので、対応してくれます。

塗装以外の苦情

塗装作業中にモノを壊された…などのケースですが、これは業者側が弁償してくれます。ご近所の対応は業者側からも挨拶されますが、自分からも声をかけておくと安心です。

アフターフォローに関する苦情

アフターフォローは業者によって対応が異なりますが、地元で営業を続けている業者なら親身になって対応してくれます。万が一、業者が倒産したときのことを考えて、塗装業界の保証に加入しているかどうかを確認しておきましょう。

では、次に最大の問題である費用に関する苦情と、その相談先についてご説明します。

外壁塗装の費用に関するよくある苦情

費用は見積もりの段階でよく説明を聞いておくことが大切ですが、専門用語が多いため聞きもらしたり、勘違いして理解したり……ということがよく起こります。

費用に関する苦情には、次のような例があります。

  • 追加料金を請求された
  • 見積もり書に「〇〇一式」と書いてあって内訳が不明
  • 費用の相場がわからなかったので「これくらいかかるのか」と思って契約したが、もっと安くできると知ったので契約を取り消したい

追加料金を請求されたとき

本来は見積もりの段階でよく調べてから、どの程度の工事が必要でいくらかかるかを計算すべきです。しかし、現実には工事に着手してから建物の不具合が見つかることもあるため、場合によっては追加料金が発生することがあります。もちろん、その際には業者からきちんと説明があります。

双方の思い違いが原因になることも

業者と施主の双方の思い違いが元で追加料金の話に発展することがあります。例えば、次のようなケースです。

  • 「劣化しにくいラジカル系の塗料だと思っていたら、シリコン系だった。ラジカル系の塗料に変えてほしい」という施主の希望でグレードの高い塗料に変更する場合
  • 「ベランダも塗装範囲に含まれると思っていたが、そうではなかった。でも、ベランダも塗装してほしい」という施主の希望で塗装範囲が増える場合
  • 「雨どいの劣化が見つかったから、ここも直しておいた方がいいと思う」と業者からの提案で費用が増える場合

このように、「ここもやってくれると思っていた」「いえ、ここは工事には含まれません」という双方の認識の違いによる場合は施主側も納得して追加料金を支払えます。また、業者側からの提案が納得できるものなら追加料金も必要だと思えるでしょう。

もちろん安心できる塗装業者なら、追加費用が発生する場合は再度見積もり金額を提示してくれます。勝手に費用を上乗せして請求するということはないので、安心してください。

高額の追加料金を請求する悪徳業者に要注意

しかし、「今さらそんなに高額な追加料金を請求されても困る」というケースは、悪徳業者の可能性があります。

例えば、最初は相場よりも安い金額を提示しておいて、工事が始まってから追加料金を請求するというケースです。

このような場合はすぐに支払わずに、「住宅リフォーム・紛争処理支援センター(住まいるダイヤル)」や「国民生活センター」に相談してみましょう。(詳しくは当記事の下の方でご紹介しています。)

見積もり書の内訳が不明なとき

見積もり書の内容が「塗装工事一式」とだけ記されていて、細かい内訳が書いていない場合は要注意です。必ず内訳を書いてもらってください。

口頭で説明を聞くだけでは証拠として残りません。必ず見積もり書に書いてもらいましょう。その上で契約することが大切です。

なお、1社だけの見積もりでは相場がわかりません。面倒でも複数の業者に見積もりを出してもらって、内容や金額を比較しましょう。

外壁塗装の契約を取り消したいとき

一度は納得して契約したものの、やはり考え直したいというときの対策についてご紹介します。

方法としては「クーリングオフ」と「契約の解除」がありますが、クーリングオフは下記の条件を満たした場合のみ可能です。

外壁塗装のクーリングオフの条件

クーリングオフは訪問販売やマルチ商法などで契約した場合に、一定期間内であれば無条件で契約が解除できる制度のことです。

外壁塗装やリフォームも、訪問販売で契約した場合はクーリングオフが可能です。ただし、自分から業者を自宅に呼んで契約した場合や、業者の事務所や展示場などに行って契約した場合は、クーリングオフはできません。

また、クーリングオフは、次の点に注意してください。

  • 契約してから8日以内であること
  • 書面で業者にクーリングオフしたいことを伝えること

クーリングオフの書面はハガキでもいいのですが、念のために内容証明郵便にするとより安心です。また、8日という日数はすぐに過ぎてしまうので、「やっぱり不安だ」という場合は、すぐに国民生活センターや住宅リフォーム・紛争処理支援センターに相談しましょう。

なお、訪問販売の業者は何かとトラブルや問題が多いので、信頼できる地元の塗装業者に依頼することも大切です。

外壁塗装の契約解除の条件

クーリングオフはできないが契約を取り消したい場合は、「契約の解除」を申し出ます。なお、消費者契約法で、次のケースでは契約の取り消しができると定めています。

不当な行為
不実の告知 重要事項について事実と異なることを告げた場合 「このままでは家の中が湿気で腐ってしまいますよ」など
過重契約 契約者にとって必要以上の内容を契約させた場合 何度もリフォームや塗装をさせた場合など
断定的判断の提供 将来における変動が不確実な事項について確実であると告げる場合 「この塗料は絶対にはげません」など
不利益事実の不告知 顧客の不利益となる事実を故意に告げなかった場合 周辺に高層マンションが建ち日陰になることを知っていながら「ここは日当たり良好なので…」と物件購入をすすめる場合(※)
不退去 業者に退去してほしいと告げているのに退去しない場合 自宅を訪問した業者の営業マンに「今は考えていないから帰ってください」と言っているのに帰らずに契約を迫る場合など
退去妨害 顧客が退去の意思を示しているのに退去せない場合 顧客が業者の事務所などから帰りたいと言っているのに、引き留めて勧誘を続けた場合

(※:例は外壁塗装とは無関係ですが、契約の取り消しになる内容としてご紹介しています)

契約が無効になるケース

契約書に次のような消費者の利益を不当に害する契約条項がある場合は、無効となります。

事業者の損害賠償責任を免除する条項 「施工後に〇〇が生じても、当社は一切責任を負いません」など、損害賠償責任を負わないことを明記している場合
消費者の解除権を放棄させる条項 「契約した工事は、いかなる理由があってもキャンセルはできません」など
消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項 解約料や違約金が不当に高い場合や、解約時に支払い済みの金額を返金しない場合など
消費者の利益を一方的に害する条項 〇〇の購入時におまけとして付けた商品を、消費者側から断らないと継続購入になってしまう場合など(※) 

(※:例は外壁塗装の工事とは直接関係がない例ですが、契約の無効になる契約条項としてご紹介しています)

違約金が高い場合は相談を

契約書に小さな文字で、「解約する場合は、契約金の30%を違約金として請求する」などと記載されている場合があります。

よく確認せずに契約書に署名押印してしまうことがありますが、このような場合でも上記の「消費者契約法」の「不当な契約条項」に該当する可能性があります。つまり、消費者契約法では平均的な損害額を超える違約金などは無効と判断されるということです。
この場合の「平均的な損額額」としては、営業マンの人件費程度と考えられるため、契約金額の30%の違約金は高すぎると言えるのです。

ただし、違約金が0で契約の取り消しはできないと思われます。

いずれにしても、高額な違約金を請求されたときは、国民生活センターや住宅リフォーム・紛争処理支援センターに相談しましょう。

契約の取り消しは1年以内に申し出ること

消費者契約法では、上記に該当することを知ってから1年以内に契約の取り消しを申し出なければいけません。
(以前は6ヶ月以内でしたが、平成28年の改正で1年間になりました。)

外壁塗装の苦情の相談先

外壁塗装に関してのトラブルや苦情があり、業者にどう対応していいかわからないという場合は、次の機関に相談しましょう。

相談機関 電話番号 電話対応時間 ホームページ
国民生活センター 消費者ホットライン188(局番なし)
(近くの消費生活相談窓口を案内)
都道府県の消費生活相談窓口によって異なる http://www.kokusen.go.jp/ncac_index.html
住宅リフォーム・紛争処理支援センター 住まいるダイヤル
0570-016-100
(PHSや一部のIP電話からは03-3558-5147)
10:00~17:00
(土日・祝日、年末年始を除く)
https://www.chord.or.jp/

住宅リフォーム・紛争処理支援センターとは

「住宅リフォーム・紛争処理支援センター」は公益財団法人で、住宅政策推進の一端として「住宅品質確保法」や「住宅瑕疵(かし)担保履行法」に基づいて、消費者の利益保護や住宅紛争の解決を図るために、住宅やリフォームに関する相談、紛争になった場合の支援などを行っています。

「住まいるダイヤル」に電話をすれば相談に乗ってくれます。必要に応じて弁護士の相談なども対応しています。

相談員としての研修を受けたスタッフ(建築士など)が対応するほか、常任弁護士もいるので、法的な相談でも対応が可能です。

ぜひ利用してみてください。

外壁塗装の苦情と相談先~まとめ

外壁塗装の苦情では、工期が長引くとか塗装の仕上がりに関すること、モノを壊されたということなどがありますが、多くは業者との話し合いで解決できるものです。
(ただし、塗装の色のイメージが思っていたものと違うという場合は、塗り直しはできないと理解しておきましょう。)

一番困るのは費用に関する問題です。特に訪問販売の業者は問題が多いため注意が必要です。訪問販売業者と契約して8日以内であれば、クーリングオフが可能です。それ以外の場合でも、一定の条件を満たした場合は契約の取り消しができるので、国民生活センターや住宅リフォーム・紛争処理支援センターなどの公的機関に相談してみましょう。