盗聴器のお悩みを解決
盗聴器が広く一般にも利用できるようになり、もはや他人ごとではなくなっています。もし自分が盗聴されているとわかったら、どうすればいいのでしょうか?
盗聴器の撤去はどこに頼めばいいのか、またその際にどのような資格を持っていると安心なのか、詳しく解説します。
盗聴器はボールペンやぬいぐるみ、電卓などの日用品の中に隠して仕掛けることができます。
この場合はそのモノ自体を壊すなどすればいいのですが、壁の中や電話機、車の中などに設置された場合は素人が撤去するのは困難です。また設置場所や状況によって、次のような資格が必要になります。
では、それぞれを詳しく見ていきましょう。
「電機通信設備工事担当者」は国家資格で、アナログ電話回線やデジタルデータ回線などさまざまな端末設備等を接続する工事を行ったり、工事の監督を行ったりします。
現代社会では、一般家庭内でもインターネット回線を使ってさまざまなサービスを受けています。家庭内や企業内で使用するアナログ電話回線・デジタルデータ回線などの電気通信回線に各種端末や機器、設備などの接続工事をするには工事担任者資格が必要です。
電気通信設備工事担当者の資格は、以前は「アナログ種(第一種~第三種)、」「デジタル種(第一種、第二種)」に分けられていましたが、平成17年8月1日からは「AI種(第一種~第三種)」、「DD種(第一種~第三種)」「AI・DD総合種」に改正されました。ただ、従来の資格を持っている人は引き続き有効でそのまま使えます。
それぞれの資格の工事範囲は下記の通りです。(実際は電気通信回線の数やデジタル信号の入出力速度などが細かく規定されています。)
AI種 | アナログ伝送路設備に端末設備を接続するための工事などを行う。電気通信回線の数によって第一種~第三種に分かれる |
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DD種 | デジタル伝送路設備に端末設備を接続するための工事などを行う。デジタル信号の入出力速度によって第一種~第三種に分かれる |
AI・DD総合種 | アナログ伝送路設備又はデジタル伝送路設備に端末設備等を接続するための工事 |
盗聴器の中には電話回線やインターネット回線を利用して会話を傍受するしくみのものがあります。電話機に仕掛けた盗聴器を撤去するには、旧アナログ第三種(現在のAI第三種)工事担任者以上の資格が必要です。
もし無資格者が撤去しようとして回線を故障させたり、なんらかのトラブルを発生させたりすると大変です。場合によっては損害賠償が発生する可能性もあります。
有資格者に撤去してもらいましょう。
会社の社屋やビル、工場、店舗、一般住宅などの電気設備の安全を守るための工事を行う場合に必要になる資格です。都道府県知事から与えられる国家資格です。
電気工事士の資格には、第一種と第二種があり、それぞれの工事の範囲は以下の通りです。
第一種電気工事士 | 第二種の工事の範囲と最大電力が500KW未満の工場やビル、高圧受電の店舗(ネオン工事や非常用予備発電装置工事を除く)の工事 |
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第二種電気工事士 | 一般住宅や店舗など600ボルト以下で受電する設備の工事 |
コンセントタップや延長コードの中に仕掛けられた盗聴器は、タップを分解すれば取り出しが可能です。しかし、壁に取り付けられたコンセントの中に仕掛けられた盗聴器を取り外す場合は電気工事士の資格が必要になります。
一般的によく設置される盗聴器を撤去する場合は、第二種電気工事士の資格があれば大丈夫です。
本来なら電気工事士の有資格者が行うべき工事を無資格者が行った場合は、「電気工事士法」によって「1年以下の懲役または30万円以下の罰金」が科されます。
くれぐれも自分の判断で勝手に撤去工事をしないように注意しましょう。
盗聴器は手軽に設置できるものから、コンセントや電話回線、LANなどインターネット回線を利用したものなど多種多様です。
特にコンセントの壁の中や電話回線、インターネット回線を利用した盗聴器の場合は有資格業者に依頼し、さらにNTTや警察の協力のもとで撤去してもらってください。
特に慎重な対応が必要なのはNTTの電話回線です。場合によっては調査や撤去時にNTTの協力や立ち合いが必要になることがあります。
また、警察に依頼する場面もあるため、必ず盗聴器の撤去に詳しい専門業者に相談して話を進めましょう。
余談ですが、盗聴器の設置が犯罪になる場合があります。
人の会話を盗み聞きするのはよくないことですが、実は「盗聴」という行為そのものは違法ではありません。
もし盗聴されても、その人を罪に問うことはできないのです。
しかし、盗聴器の設置に関しては、その方法や手段によってはいくつかの罪に該当することがあります。
罪名 | 罪に問われるケース | 刑罰 |
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住居侵入罪 | 他人の家に正当な理由なく侵入した場合 | 3年以下の懲役または10万円以下の罰金 |
有線電気通信法違反 | 盗聴器を仕掛けるために有線電気通信設備を壊したり、改造したりすること、また電話など有線通信設備の機能に障害を与えたりする | 5年以下の懲役または100万円以下の罰金 |
電波法違反 | ①不法無線局の使用や重要な無線通信に妨害を与えた場合 ②警察や消防など重要な無線通信を妨害した場合 |
①1年以下の懲役または100万円以下の罰金刑罰 ②5年以下の懲役または250万円以下の罰金 |
電気通信事業法違反 | 電気通信事業者が取扱中の通信で知り得た他人の秘密を漏らした場合 | 2年以下の懲役または100万円以下の罰金 |
器物損壊罪 | 他人の所有物を壊した場合 | 3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料 |
このように多くの罪に問われます。浮気やいじめの証拠を押さえるためにやむなく盗聴をするケースがあるかと思いますが、その場合は専門家に相談するようにしましょう。
盗聴器はボールペンやUSBメモリ、ぬいぐるみなどの中に仕掛ける簡単なものから、コンセントの裏(壁の中)や電話機などに仕掛けるものまでさまざまです。
ボールペン型など日用品の中に設置された盗聴器は、そのもの自体を処分したり、会話が聞こえない場所に遠ざけたりすれば問題はありません。
しかし、壁の中の電気配線や電話回線、インターネット回線などに仕掛けられた盗聴器を撤去する場合は電気工事に関する資格が必要になります。また、調査や撤去に際してNTTの立ち合いが必要になる場合があります。
盗聴器の撤去を依頼する場合は、資格を持っているかどうか、実績があるかどうかをよく確認しましょう。
なお、盗聴器を設置する場合、その方法によっては罪に問われることがあるので注意が必要です。