雨漏りのお悩みを解決
「雨漏り=屋根に穴が開いている」と考える人が多いのですが、実はベランダやバルコニーも雨漏りの原因になります。
ベランダからの雨漏りは意外と見落としがちなのですが、ベランダでどうして雨漏りが起こるのか、その原因を見ていきましょう。
ベランダで起こる雨漏りの主な原因としては、次のことが考えられます。
ベランダは屋根と同様に、1年365日、外に出たままです。強い日差しを浴びる日もあれば、台風で暴風雨にさらされる日もあります。地方によっては重い雪が積もることもあるでしょう。
このような自然環境下での影響や建築後の年数経過によって劣化していくことが雨漏りの原因になります。
ベランダの壁が経年劣化してヒビ割れを起こすことで、そこから雨水が侵入します。雨は上からだけでなく、横なぐりの雨も降るので壁のヒビ割れを見つけたら早めに修理することが大切です。
ベランダの床には、設置時に防水目的のために防水シートを貼ったり、防水塗装をしたりしています。これを「防水層」と呼びます。
しかし、防水層は永久的に持つわけではありません。特にベランダは風雨や日差しの影響を受けるため、年数の経過とともに劣化していきます。
防水シートが破れたり、防水塗装がはがれたりすると防水機能が低下してしまいます。定期的な点検を忘れないようにしましょう。
なお、防水層はベランダに植木鉢やプランター、物置などを置くことで劣化することがあるので注意しましょう。
ベランダには、落ち葉やゴミ、虫の死骸、布団や洗濯物から落ちた繊維などさまざまなものが落下し、それらが排水口付近にたまっていきます。
さらに雨が降ることで排水口に押し流され、やがて詰まっていくのです。
すると、本来は排水口から下に流れるべき雨水が流れずにあふれて、建物内に侵入することになります。
ベランダの排水口の詰まりは素人が見てもすぐにわかるものなので、小さなホウキなどを設置してこまめに掃除するようにしましょう。
本来ベランダは少し傾斜が設けられています。雨水が排水口に流れやすくするためなのですが、設置時の傾斜がゆるいと雨水がスムーズに流れずにベランダに水がたまってしまいます。常に濡れている状態になると、防水層の劣化を早めることになり、雨漏りの原因につながります。
ベランダの勾配は1/50以上あることが必要です。また、排水口の勾配は1/100以上が必要です。この勾配がゆるいと、スムーズに排水ができません。
雨が降るとベランダに水たまりができるとか排水が悪いと感じる場合は設置ミスが考えられるので、施工業者に相談してみましょう。
ベランダは手すりが柵のようになっていますが、足元まで手すり(柵)があるわけではなく立ち上がり部分は壁のようになっています。これを腰壁と言いますが、高さは250mm以上あることが理想です。
また、室内側のサッシ窓の立ち上がり部分は120mm以上の高さがないと、雨が多い日には室内に雨水が侵入する恐れがあります。
これらは家を建てたときにチェックされるべき点ですが、いつもサッシの床だけ雨漏りがして濡れているという場合はサッシの立ち上がり部分が低くないかどうかを測ってみるといいでしょう。
ベランダの雨漏りの原因は経年劣化や設置時のミスなどもありますが、排水口の掃除など自分で防げる部分もあります。
そこで、ベランダの構造を知っておきましょう。
ベランダの床には防水処理が施されています。防水処理には次の2つのタイプがありますが、最近の住宅は①の露出型がほとんどです。
露出型はFRPという繊維強化プラスチックを使って防水処理をする方法です。下地にも防水用ポリエステル樹脂などを何層にも施して防水対策を行っています。
保護モルタル型は床にモルタル(砂とセメント、水を混ぜ合わせたもの)を塗って防水処理をする方法です。
最新型のベランダは何層にもわたって防水処理を施すほか、ベランダの床にたまった水はデッキの樋で受け止めて流す構造になっています。
また、排水口の掃除がしやすいような工夫や床材は不燃材を取り入れるなど、防水・防火の両面での対策が取られています。
もしベランダが老朽化してお困りの場合は、修理よりも新しいベランダを設置する方が安心と言えるでしょう。
ベランダの雨漏りを未然に防ぐには、なるべく傷をつけない、傷を見つけたら早めに処置をするということが大切です。
防水シートに傷をつけないために、ベランダには重いものを置かないようにしましょう。植木鉢やプランターなどは控えます。ベランダに物置を置いて家の押入れに入りきらないものを収納するという人がいるでしょうが、あまり重くなると床に傷ができてしまいます。
先端がとがったものも床材を傷つけることになるのでNGです。
防水シートやFRP防水は火気に弱いという特徴があります。
ベランダでのタバコや花火、バーベキューなども控えましょう。これは火災防止のためにも、重要なポイントです。
落ち葉が風で飛ばされてきてベランダに落ちるということはよくあります。排水口には落ち葉やゴミがたまっていませんか?
排水口が詰まると雨水がオーバーフローして雨漏りの原因になります。こまめに掃除をすることが大切です。
ベランダの雨漏り対策として、定期的に点検をしましょう。点検項目は次の通りです。
これらを年末の大掃除などの機会に点検してみましょう
少しでも異常を見つけたら、早めに専門業者に修理してもらうことが大切です。
ここまではベランダが原因で雨漏りが起こることをご説明してきましたが、サッシの窓枠の劣化が原因で雨漏りが発生することがあります。
サッシは防水目的や気密性を高めるために、窓枠にコーキング(パッキン)をしています。しかし、コーキングは10年ほど経過すると劣化が始まると言われています。
すき間風を感じるとか、窓枠のまわりの湿気がひどいと感じたら、コーキング(パッキン)の劣化を点検するといいでしょう。
自分での判断や修理は難しいので、必ず専門業者に依頼されることをおすすめします。
雨漏りの原因は屋根だけではありません。ベランダからの雨漏りもあります。
ベランダの雨漏りは、床材の防水性能の低下や排水口の詰まりなどが原因になります。また、窓枠のサッシのパッキン(コーキング)の劣化で室内に雨水が侵入することがあります。年に1~2度はベランダの床や排水口、窓枠などを点検するようにしましょう。