ネズミ駆除のお悩みを解決
このページで分かること
ネズミの被害でお悩みの方にとって、駆除の方法は大きな課題です。殺すのはかわいそうだけれど、ネズミ算のように繁殖すると困りますね。
そこで、心を鬼にして殺鼠剤(さっそざい)を使って駆除してはいかがでしょうか。
このページではネズミ駆除に使う殺鼠剤の成分や効果的な使い方、取り扱いの注意点などをご説明します。
ネズミの駆除に使う殺鼠剤には、どのような成分が含まれているのでしょうか。
殺鼠剤の有効成分は製品によって異なりますが、主に下記のものが使用されています。
成分 | 特徴 | 効果の早さ |
---|---|---|
ワルファリン | 抗凝固剤(血液が固まるのを防ぐ)薬剤で、ネズミが服用すると網膜内で内出血をし視力が低下するので、明るいところに出てくる。体内で内出血を起こし、死亡する | 遅効性 少しずつ蓄積して効果を発揮する |
クマリン | 桜の葉などに含まれる芳香成分のひとつ。血液の抗凝固作用がある。即効性がないため、ネズミは毒と知らずにエサを食べ続け、次第に死に至る | 遅効性 少しずつ蓄積して効果を発揮する |
ジフェチアロール | クマリン系の殺鼠剤に慣れてしまったスーパーラットにも効果を発揮すると言われる成分。体内で内出血が起こり、死に至る | 遅効性 少しずつ蓄積して効果を発揮する |
リン化亜鉛 | ネズミが食べると、体内で胃酸と反応してリン化水素ガスが発生し、呼吸困難になって死亡する | 強力で即効性がある |
これら以外にも黄燐(おうりん)を含む「猫いらず」と呼ばれる殺鼠剤がありますが、毒性が強く毒物及び劇物取締法の対象となって、現在ではほとんど使用されていません。
殺鼠剤はネズミという生き物を殺す薬剤ですが、人体には悪い影響はないのでしょうか。
次のように各成分は人体になんらかの影響を与える可能性があります。
ワルファリン | 催奇形性の心配があるため、妊婦さんは禁忌とされている |
---|---|
クマリン | 過剰摂取すると肝機能に問題が出る可能性があるため、乳幼児やペットが口にしないように注意が必要 |
ジフェチアロール | 人体にも有害なので乳幼児やペットには要注意 |
リン化亜鉛 | 人間が少量摂取しただけでも嘔吐や昏睡などの症状が現れるので、取り扱いは要注意 |
少し触れただけでは大きな問題にはなりませんが、ペットや乳幼児が手に触れたり口に入れたりしないように注意しましょう。
また、殺鼠剤を取り扱う場合は手袋をして、慎重に扱うことが大切です。
ネズミは夜行性なので、主に夜間に活動します。乳幼児やペットがいる家庭では、夜に殺鼠剤を配置して、朝には回収すると安心です。
なお、子どもの手が届かないすき間や天井裏などに設置している場合は、そのまま配置しても問題はありません。ペットによってはすき間に入り込むことがあるので、様子をよく見て危険なら昼間は回収するようにしましょう。
ネズミは警戒心が強く、頭がいい生き物です。殺鼠剤を使って駆除する場合は、期待する効果が得られるように、設置場所に注意しましょう。
殺鼠剤をより効果的に使うには、次の場所に置くようにします。
せっかく殺鼠剤を使うのですから、少しでも効果的な置き方をしましょう。そのポイントは、次の4つです。
ネズミの糞がある場所やネズミを見かけた場所、ネズミにかじられた場所などに殺鼠剤を置くようにしましょう。
殺鼠剤だけでは警戒される可能性があります。ネズミが好きな食べ物を上から振りかけるなどの工夫をしましょう。
特に過去にネズミにかじられたもの(チーズや米など)がわかっていれば、それを上からかけると効果的です。手で混ぜる場合はビニール手袋をして、薬剤が手に触れないように注意してください。
屋外(庭や側溝の近く、小屋など)で使用する場合は、濡れないようにしてください。濡れると殺鼠剤がふやけてしまいます。周囲に流れ出ることもあるので、濡れない場所に設置することが大切です。
もし湿気が多い場所に設置する場合は、防水トレーに入った殺鼠剤を使うといいでしょう。
「殺鼠剤を置いたから、これでもう安心!」と思いたいところですが、ネズミは警戒心が強く知恵があります。
普段と違うものが置いてあると、すぐには飛びつきません。また、1匹が犠牲になると警戒することがあります。
様子が気になって何度も見に行くこともしばらくは控えましょう。設置して1週間くらいはそのまま放置しておきます。1週間程度放置しても、何も変化がないようなら場所を変えてみましょう。
殺鼠剤を使っても効果がない「耐性がついたネズミ」が現れるようになりました。「スーパーラット」と名付けられています。
日本の家屋に出没するネズミは「クマネズミ」「ドブネズミ」「ハツカネズミ」の3種類ですが、スーパーラットと化して注目を集めているのは「クマネズミ」です。
クマネズミは体長が約15cm前後で、高い場所にも上がっていける運動能力があります。また、穀物や昆虫などを好んで食べます。
ドブネズミは湿気が多いところが好き、ハツカネズミは高いところは苦手という特徴がありますが、クマネズミは高いところにもスルスルと上がっていきます。そのため、天井裏や屋根裏、ビルの中などにも入り込んでしまいます。
大変生命力が強いネズミであることがわかります。
スーパーラットはクマネズミの特別変異のように思うかも知れませんが、決してそんなことはありません。
どのネズミにも個体差があります。クマネズミの中にも、従来の殺鼠剤で死亡する個体もあれば、平気で生きる個体もいるのです。その中で、当然のことながら、殺鼠剤への耐性が強い個体が生き残ります。そこで生き残った個体同士が交配を繰り返すことで、殺鼠剤に耐性を持つネズミ(スーパーラット)が誕生したと考えられています。
その後はスーパーラットがスーパーラットを生むという連鎖で、増えていったのでしょう。
では、このスーパーラットに打つ手はないのでしょうか?
殺鼠剤の開発や製造を行っている企業では、スーパーラットにも使える殺鼠剤の研究開発を行っています。
ジフェチアロールやリン化亜鉛が配合された殺鼠剤は、スーパーラットにも対応できると言われています。
まずはワルファリンやクマリン配合の殺鼠剤で試してみて、効果がないようならスーパーラット対応の殺鼠剤に変えてみるといいでしょう。
ネズミ駆除には毒性のある殺鼠剤を使用します。配合されている成分はネズミを死に至らせるものですが、少量なので人体への影響はそれほど大きいものではありません。
しかし、妊婦さんや乳幼児、ペットなどが口にすると危険なものもあるので、取り扱いにはくれぐれも注意してください。
また、設置場所はネズミがよく通る場所で好物のエサを上からかけるなどの工夫をしてみましょう。ネズミは警戒心が強いので、すぐには飛び付かない可能性があります。1週間ほどは様子を見て、粘り強く駆除に当たりましょう。
なお、最近は殺鼠剤に耐性を持つスーパーラットが出現していますが、スーパーラットにも対応できる殺鼠剤があるので試してみてください。