ネズミ駆除のお悩みを解決

賃貸住宅(アパート・マンション)にネズミが発生したら誰が駆除すべき?

賃貸住宅(アパート・マンション)にネズミが発生したら誰が駆除すべき?

アパートやマンション、一戸建てなどの賃貸住宅にネズミが発生することはよくあります。その場合、入居者が駆除すべきなのでしょうか?それとも貸主(大家さんや管理人さん)でしょうか?

このページでは賃貸住宅でのネズミ駆除についてご説明します。

賃貸住宅でのネズミ発生は誰の責任?

「ステキな部屋に引越した!」と喜んでいたのに、ある日ネズミが発生したらショックですね。

賃貸住宅にネズミが発生したら、その責任は誰にあるのでしょうか?

賃貸住宅のネズミ駆除を巡る裁判の例

賃貸住宅に発生したネズミを巡って裁判に発展したケースがあるので、ご紹介します。

裁判では借主(入居者)の責任と判断

賃貸住宅に入居していた借主が、「部屋にネズミが出るようになった」ということで貸主に対して損害賠償する民事訴訟を起こしました。

それに対しての東京地裁(平成21年1月)の判決は、次のようなものでした。

「建物の賃貸借契約において賃貸人が賃借人に対して負う義務は、賃借人がその使用目的に従って建物を使用収益できる状態にして引き渡せば足りるものであり、その後、建物にネズミ等の生物が侵入して建物の使用に影響を与えるようになったとしても、ネズミ等の建物内への侵入自体は当該ネズミ等と建物を使用する賃借人の使用状況との相関関係により生じる事態であって、賃貸人の管理の及ばない事項である以上、この侵入を阻止するよう措置をとる義務が賃貸人に直ちに生じるものではない」

つまり、貸主(大家さんや管理人)は入居希望者に対して、使える状態にして提供(引き渡し)をする義務はあるけれど、入居後は借主(入居者)の部屋の使い方によってネズミが発生するのだから、ただちに貸主の責任だとは言えないということになります。

とは言うものの、現実には「誰が悪い」とは断言できないケースが多く、トラブルになりがちです。

賃貸住宅のネズミ駆除は原因を考えることが大切

裁判になると費用も時間もかかり、精神的なストレスも相当なものになります。そこで、トラブルになる前に、「このネズミは何が原因で現れるようになったのか」を考えて入居者と貸主との間でよく話し合うことが大切です。

賃貸住宅に虫が入ってくるのは誰の責任?

まず、ネズミではなく虫の場合で考えてみましょう。次のようなケースの場合、誰に責任があるでしょうか。

  • 1.入居者が窓を開け放していて蚊が入ってきた
  • 2.入居者が生ゴミを始末せずに放置していたのでハエが発生した
  • 3.入居時にはいなかったゴキブリが出た
  • 4.今まで問題なかったのに、賃貸住宅に引越したらダニに咬まれた

1や2の場合は入居者に非があるため、蚊やハエの駆除は入居者がすべきです。一方、3のゴキブリ発生は、賃貸住宅に元々住みついていたものが現れたのか、入居者の不始末(不衛生にしていたなど)によるものなのか、明確にできません。

4の引越しと同時にダニに咬まれたという場合は、入居した物件に問題がありそうです。

害虫はまず入居者が駆除

蚊やハエ、ゴキブリなどは、よほど異常発生でない限り入居者が駆除します。ただ、明らかに隣の部屋がゴミ部屋になっていてハエやゴキブリが発生していると判断できる場合は大家さんや管理人・管理会社に相談することになるでしょう。

ネズミが発生した原因は何?

ネズミも同様に考えて、原因がどこにあるのかを探っていきます。

原因によって対処法が異なる

ネズミはどのように発生したのかを考えてみましょう。

  • 賃貸住宅全体でネズミが発生している場合
  • 入居者の生活や部屋の使い方に原因がある場合

それぞれの場合を見てみます。

賃貸住宅全体でネズミが発生している場合

建物全体でネズミがいると思われる場合は、管理人に苦情を伝えて対策を取ってもらいましょう。
次のような出来事があれば、早めに駆除する必要があります。

  • 同じ賃貸住宅に住む人同士の会話で「夜中に天井から人間ではない何かが歩く音がする」という意見が聞かれた
  • 賃貸住宅内でネズミの姿を見かけた(またはネズミの死骸を見つけた)
  • 動物の糞尿のニオイがする
  • ネズミにかじられた跡がある

特にマンションやアパートのような共同住宅では、1部屋だけでなく複数の部屋でネズミの気配を感じるようになります。この場合は建物にネズミが侵入する穴があると考えられます。

そして、物件全体に被害が及ぶ可能性があるため、管理人や管理会社に対応をしてもらいましょう。

入居者の生活や部屋の使い方に原因がある場合

一方、ハエやゴキブリのように入居者が不衛生な暮らしをすることが原因でネズミが発生することがあります。

この場合は他の部屋の人に聞いても「ネズミの被害?うちは何もないけれど……」という答えが返ってくるでしょう。このときは自分で駆除をすることになります。

賃貸住宅のネズミ駆除は少しでも早く始めること

ネズミはわずかな期間の間にどんどん増えていきます。駆除をするなら早めに実施することが重要です。

ネズミは繁殖力が強い

ネズミが1匹や2匹だからと安心してはいけません。ネズミは「ネズミ算」と呼ばれるように、急速に数が増えていきます。

ネズミ算とは

数がどんどん増えることを「ネズミ算」と言いますが、これはネズミの繁殖に例えたものです。

ネズミは1度に5~6匹の子どもを生みます。そして、20日~30日程度で次の出産をします。最初に生まれた子ネズミも30日後には5~6匹の子どもを生むため、夫婦2匹のネズミしかいない場合でも、1年後には恐ろしい数に増えるという計算になります。

賃貸住宅でネズミがいるとわかれば、少しでも早くに駆除しなければなりません。

賃貸住宅のネズミ駆除の流れと費用負担

賃貸住宅では1部屋だけでなく、建物全体で駆除を考える必要があります。貸主との話し合いにもよりますが、次のような流れで実施するといいでしょう。

賃貸住宅のネズミ駆除の流れ

  • ネズミ駆除業者に現場を調査してもらう
  • 駆除の方法を検討する
  • 駆除を始める前に入居者に説明する
  • 駆除を行うと同時にネズミの侵入口をふさぐ

ネズミの駆除や調査には入居者も立ち会うと安心

例えばネズミの侵入口が少しでも残っていると、せっかく駆除してもまたそこからネズミが入り込んでしまいます。

また、駆除が不十分でもネズミの被害は解決できません。

そこで、調査や駆除には入居者もきちんと立ち会うことが大切です。部屋に入る必要があるので、その際にはもちろん協力しましょう。

賃貸住宅のネズミ駆除の費用は誰が負担すべき?

では、ネズミ駆除の費用は誰が負担すべきでしょうか。

これもネズミが発生する原因によって異なります。

入居者が部屋にゴミを放置していたなどの原因がある場合は入居者が駆除費用を負担すべきでしょう。しかし、賃貸住宅全体にネズミが発生している場合や、建物にネズミの侵入口がある場合は貸主が負担すべきと考えられます。

ただ、原因が明確にわからない場合が多いので、貸主が入居者へのサービスとして駆除費用を負担するケースや、駆除費用は入居者負担、侵入口をふさぐのは貸主が負担するというケースなどがあります。

いずれにしても、ネズミがいるとわかったら少しでも早く駆除するようにしましょう。

賃貸住宅のネズミ駆除~まとめ

賃貸住宅にネズミが発生したら、駆除する必要があります。しかし、その費用は誰が負担するのかが問題です。

賃貸住宅のネズミ駆除に関してはトラブルになることが多く、裁判に発展することもあります。

明らかに入居者に非がある場合は入居者が費用を負担すべきですが、そうでない場合は話し合いで解決するようにしましょう。なお、ネズミの調査や駆除は入居者も立ち会い、しっかり駆除されているかどうか確認することが大切です。