外壁塗装のお悩みを解決

外壁塗装はDIYでできる?

DIYする男性

外壁塗装はDIYでできるのか

「そろそろ我が家も外壁塗装工事をしなければ…」と思ってはいるものの、経済的な事情などで、なかなかできないご家庭は多いでしょう。そのようなとき、「DIYで外壁塗装はできないものか」という考えが浮かぶかもしれません。

DIYで外壁塗装ができれば、工事費用が浮くということ以外にも、以下のようなメリットがあります。

  • 人によっては楽しい。
  • 知らない人が敷地に入ってこない。
  • 補修しようと思ったら、すぐに対応できる。

DIYが好きな人にとって、外壁塗装という大規模な工事を自分で行えるのは、とても楽しそうだと思うかもしれません。しかし当然ながら、外壁塗装をDIYするといいことばかりではなく、リスクも付きまといます。

リスクを知った上で、本当にDIYするのかどうか、決断してください。

外壁塗装をDIYすると、怪我や死亡のリスクが

外壁塗装をDIYする最大のリスクは、やはり事故の危険性があるということでしょう。しかも外壁塗装工事中の事故で死亡するのは、素人ばかりではありません。

これまで塗装業者やリフォーム業者など、プロの職人たちが、たくさん命を落としてきました。プロの職人ですら死亡することがあるのですから、充分な安全知識のない素人の工事がさらに危険であることは、想像に難くありません。

ちなみに、事故の原因は転落だけではありません。以下のような原因でも、事故が発生した例があります。

  • 電線に鋼管を接触させ、感電死。
  • 溶剤塗料を吸いすぎて失神。
  • 有機溶剤が何らかの原因で発火し、焼死。

外壁塗装をDIYすると、技術力の低さが問題になる

困り顔の男性

外壁塗装工事をプロの業者に依頼すると、規模にもよりますが、2〜3週間で終わることが多いです。

しかし、素人の工事だと無駄に時間がかかってしまうので、雨の日は作業ができないことを考えると、2〜3カ月、長ければ半年以上かかってしまうことがあります。

しかも、それだけ長い時間をかけて外壁塗装をしても、プロのような仕上がりにはならないため、ムラになったり、耐久性が低くなったりする可能性が高いです。

使用する塗料や業者の腕にもよりますが、プロに依頼すれば、10〜15年程度はもつと言われています。しかし素人の外壁塗装では、数年どころか半年程度で、修復が必要になってしまうかもしれません。

外壁塗装をDIYするときの安全対策

リスクを知ってもなおDIYにこだわる人は、せめて安全対策はしっかりと行いましょう。

外壁塗装をDIYするときの服装

外壁塗装をDIYするときは、以下のものを身につけると、安全性が高まります。

  • ヘルメット
  • ゴーグル
  • 防毒マスク
  • 滑らないゴム靴
  • 作業着
  • 塗装作業用の手袋
  • 安全ベルト(安全帯)

ゴーグルと防毒マスクは、有機溶剤を使用するときだけ着用すればいいでしょう。防毒マスクは、しっかりした作りのものを選んでください。簡易的なマスクを使用するのは危険です。

外壁塗装をDIYするときも、足場の組み立てはプロにお願いしよう

はしごや脚立だけで広範囲に渡る塗装作業をするのは効率が悪いですし、安全性の面でも問題があります。必ず足場を設置してから、作業にあたるようにしましょう。

ただ、自分で足場を組み立てることは、危険極まりない行為です。インターネット上には、足場を組み立てる方法を掲載しているサイトや、足場の販売・レンタルをしてくれるお店も散見されますが、危険性が高いため、おすすめできません。

塗装作業自体は自分で行う場合でも、足場の組み立てだけは、プロにお願いするのがいいでしょう。足場屋さんにもよりますが、個人の依頼に応じてくれるところは、探せば意外と見つかります。

外壁塗装をDIYする手順

1.外壁塗装の前に、水洗いで外壁の汚れを落とす

Cute asian boy has fun playing in water from a hose outdoors

外壁には汚れやカビ、砂埃のほか、チョーキング現象による白い粉が付着しています。まずは下準備として、これらの汚れを水で洗い流しましょう。

汚れをきれいに洗い流しておくことで、塗料がよく密着するようになります。また、養生するときに、ガムテープがくっつきやすくなるというメリットもあります。

長めのホースで外壁を掃除しよう

業者であれば、業務用の高圧洗浄機を用いて洗浄するのですが、高圧洗浄機を所有している家庭はあまりないと思うので、長めのホースを用いて洗浄してください。

ホースは元から長いものを買ってもいいですが、すでにホースを所有しているご家庭なら、もう1本ホースを買って、繋いで使うのもいいかもしれません。スポンジやブラシも使い、汚れをしっかりと落としましょう。

手に負えないときは業者にお願いする

ただ、中には、スポンジやブラシでは完全に落としきれない汚れもあるかもしれません。このようなときは、やはり高圧洗浄機の力が必要です。しかし、素人が高圧洗浄機を使用すると、ちょっとした隙間から水が内部に入り込んでしまう可能性があります。

ですから高圧洗浄機を使用したい場合は、外壁塗装業者に高圧洗浄のみを依頼するのがおすすめです。「お金をかけたくないからDIYするのに!」と思うかもしれませんが、ここで外壁を綺麗にするのとしないのとでは、仕上がりに大きな差が出ます。

高圧洗浄のみであれば、1〜3万円前後でも可能(出張費が発生する可能性はある)なので、できればプロにお願いしましょう。水洗いが済んだら、1日ほどかけて乾かしてください。

2.養生する

養生とは、塗りたくない場所まで塗料が飛び散って汚れることのないよう、ビニールなどで覆って保護することを言います。自分の敷地内であれば、塗料で汚れてもあまり問題ないかもしれませんが、ほかの家の外壁や車などに飛び散ってしまっては、トラブルに発展します。

必ずこの作業を怠らないようにしましょう。昔は新聞紙で養生していましたが、ぐちゃぐちゃになってしまう可能性があるので、現在は「マスカー」というものを用いることが多いです。

外壁塗装で重宝されるマスカーとは?

マスカーとは、マスキングテープとビニールが一緒になっているもので、1個あたり25メートルあります。

テープとビニールが別々だと作業が煩わしく、プロの業者でも手こずることが多いですが、マスカーならばテープとビニールが一体となっているので、効率よく養生作業を進めることができます。マスカーは200円くらいで、以下のような場所で購入できます。

  • ネットショップ
  • 塗料屋さん
  • ホームセンター

事前に養生したい箇所の長さを測っておく必要がありますが、注意していただきたいのは、実際の長さよりも10メートル以上の余裕を持って、購入するということです。

マスカーは、誤ってテープとビニールをくっつけると、ぐちゃぐちゃになってしまうので、その部分は使い物になりません。プロの職人でもこのようなミスを犯すことがあるので、素人の人はなおさら、予備の分を用意しておいたほうがいいでしょう。

マスカーのテープは、ゴミや埃があるとくっつきにくいので、事前に掃除をしておくことが大切です。

マスキングテープがくっつきにくいときの対処法

養生作業中、コンクリートの箇所やでこぼこのある箇所は、マスキングテープがくっつきにくいかもしれません。

このような箇所には、「テーププライマー」というスプレーを噴射しましょう。噴射後1分ほどおいてからマスキングテープを貼ると、くっつきやすくなっているはずです。

養生のポイント

テープを強く押して、地面との隙間をなくす

地面の目が粗いと、テープと地面の間に隙間ができやすいため、塗料が流れ出してしまうことがあります。こうなると汚い仕上がりになるので、テープを貼るときは必ず指で強い力を加え、地面との隙間がなくなるようにしましょう。

外壁塗装では、安物の養生アイテムは使わない

マスキングテープもビニールも、100円ショップで手に入ります。しかし、100円ショップのマスキングテープはベタつきやすいですし、ビニールは破れやすいです。安易に安物を購入するのではなく、ホームセンターなどできちんとした道具を揃えましょう。

3.下塗りをする

下塗りとは、塗料の密着性を高めるために、「シーラー」という接着塗料を塗ることです。ただ、これまで一度も塗装をしたことがない場合、塗装面が塗料を吸い込みすぎる可能性があります。

このような場合は、シーラーよりも粘土が高く、ドロドロとした「フィラー」という塗料を使用しましょう。

塗料の選び方

下塗りに使う塗料は、上塗りに使う塗料によって変わります。まず上塗りの塗料を決めてから、下塗りの塗料を決めましょう。塗料は、以下のメーカーのものが安全性が高く、おすすめです。

  • 日本ペイント
  • 関西ペイント
  • エスケー化研

下塗りのやり方

シーラーは薄めず、そのまま使用します。フィラーは説明書きに従い、水で薄め、よく混ぜ合わせてから使用しましょう。

コストを削減したいという思いから、フィラーを薄めすぎてしまう人がいますが、そうするとカビを防ぐ効果が低下することがあるので、注意が必要です。

下塗りの大部分はローラーを使用して行いますが、細かい部分は、ローラーで塗ることはできません。なので細かい部分は、ローラーでの作業に取り掛かる前に、刷毛で塗っておきましょう。

ローラーも刷毛も、大きさや種類などさまざまです。塗る場所によって使い分けると上手くいきやすいので、できるだけたくさんの種類を揃えておくことをおすすめします。

塗装面によっては、塗料の吸い込みが激しいことがあるかもしれません。このようなときは、少し水を足して薄めると塗りやすくなるでしょう。

塗料を塗るときのポイント

塗料を塗るときは、上から下へと塗っていくようにしましょう。行き当たりばったりで塗っていくのではなく、塗装作業を始める前に、塗る順番を決めておくようにしてください。

また、塗料は薄くてもいいので均一に塗っていくと、耐久性がアップします。より頑丈にするために厚みを持たせたいのなら、いったん塗料を塗って乾かしたあと、もう一度上から塗っていきましょう。

4.中塗りをする

中塗りは、塗装に厚みを増し、耐久性をアップさせるために行います。使用する塗料は、あとで行う上塗りと同じものです。水性の塗料であれば、水で薄めてから使いましょう。

何%薄めるといいのかは、説明書きに記載されているはずです。使用する刷毛やローラーは、下塗りで使ったものとは別に用意する必要があります。

これは、下塗りで使用した塗料と、中塗りで使用する塗料が混ざることを防ぐためです。下塗りの塗料がまだ残っている刷毛やローラーに別の塗料をつけると、中毒になったり、適切に塗ることが難しくなったりする可能性があります。

5.上塗りをする

中塗りが完全に乾いたら、仕上げに上塗りをします。中塗りを仕上げとし、上塗りを省略してもかまいませんが、上塗りをしたほうが耐久性がアップします。

美観に最も影響を与える行程なので、慎重に作業を行いましょう。塗り終えたら、きちんと全体を塗装できているかチェックして、完成です。

養生を剥がすときは、慎重に行ってください。テープなどに付着してパリパリになった塗料が、周囲を汚してしまうことがあります。

6.後片付け

基本的にローラーは使い捨てなので、ハンドルから外して捨てましょう。ローラーをハンドルに付けたまま置いておくと、ローラーが固まって外れなくなってしまいます。

刷毛は中性洗剤でよく洗ってから、保管しましょう。もしくは溶剤塗料を使用した場合、刷毛箱の中に入れたシンナーやボイル油などに浸した状態で、保管してもかまいません。

外壁塗装ではたくさんのゴミが出ますが、通常のゴミのように家庭ゴミとして捨てないようにしてください。特に有機溶剤塗料は、密閉された空間に置いておくと発火の恐れがあるので、取り扱いには注意が必要です。

専門の処理業者に依頼する場合は、厚生労働省の認可を受けた業者を選びましょう。

外壁塗装のDIYはおすすめできない

外壁塗装のDIYについてたくさん説明してきましたが、あまり積極的におすすめできるものではありません。簡易的なものであればDIYもいいですが、高所での作業は転落や感電など、危険が付きまといます。

外壁塗装工事にかかる費用は高く感じるかもしれませんが、命を守るための出費だと考えたら安いものです。また、外壁塗装に必要な道具を揃えると意外と高くついてしまい、結局あまり節約にならなかったというケースもあります。

何かよほどの事情があるのでなければ、最初からプロにお願いしたほうがいいでしょう。