盗聴器のお悩みを解決
このページで分かること
盗聴は人のプライバシーを盗み聞きすることなので犯罪行為のように思えますが、実は盗聴行為そのものは罪に問われません。
ただし、場合によっては罪に問われることがあります。このページでは、盗聴と犯罪について詳しくご説明していきます。
盗聴された人から見れば、「どうしてこれが罪に問えないの?」と思うかも知れません。しかし、日本の法律では盗聴は犯罪には該当しません。
盗聴の手段で一般的なのは、無線式の盗聴器を仕掛ける方法です。これは盗聴器から出る電波を離れた場所で傍受して、会話を盗聴するしくみです。
ところが日本国内には多くの周波数の電波が飛んでいます。ラジオをつけると、鮮明に聞こえなくてもさまざまの周波数の放送が聞こえますよね。
盗聴器の電波から傍受する音声も、それと同じとみなされるのです。
盗聴する行為そのものは犯罪に問うことはできません。しかし、盗聴器を設置する際に、下記のようにいくつかの罪に触れる可能性があります。
では、ひとつずつ見ていきましょう。
他人の家(住居)に正当な理由なく侵入すると「住居侵入罪」に該当します。盗聴器を設置するためにこっそり家に入る行為が犯罪になるのです。
ただし、盗聴器は他人が設置するとは限りません。同居している家族が設置することもあります。その場合は住居侵入罪は成立しません。
住居侵入罪は3年以下の懲役または10万円以下の罰金が科せられます。なお、住居侵入罪は未遂も罪に問われます。つまり、盗聴器を仕掛けようとして他人の家に入ろうとしたところを見つかって捕まった場合でも刑罰の対象になります。
他人の所有物を損壊(壊す)すると器物損壊罪に該当します。盗聴器を設置する際に、テーブルや壁を傷つけたり、時計やぬいぐるみなどを壊したりすると器物損壊罪が成立します。
器物損壊罪の刑罰は3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料です。なお、民事上では、所有物を損壊された相手から損害賠償を請求される場合があります。
電波法では不法無線局の使用や重要な無線通信に妨害を与えることを禁止しています。
無線局を開設する場合は総務大臣の免許を受ける必要がありますが、無許可で開設したり、規定の周波数以外の周波数を利用したりする場合は電波法違反に該当します。
しかし、市販されている盗聴器はそれほど強い電波を出しているわけではありませんし、違法な盗聴器が販売されていれば業者が罰せられます。そのため、現実には市販されている盗聴器を使うレベルでは、電波法に触れる可能性は低いと言えます。
ただ、盗聴器を改造して違法な電波を出すと電波法違反に問われる可能性があります。
電波法では、警察や消防など重要な無線通信を妨害した場合も罪に問われます。使用した盗聴器の電波がこれらの重要な無線通信を妨害した場合は電波法違反に該当します。
また、盗聴で知り得た他人の秘密や警察・消防などの情報を漏らした場合も電波法違反になります。
電波法違反の刑罰は1年以下の懲役または100万円以下の罰金ですが、警察や消防など重要無線妨害は罪が重く5年以下の懲役または250万円以下の罰金になります。
電気通信事業法では、電気通信事業者が取扱中の通信で知り得た他人の秘密を漏らしてはいけないと定められています。
電気通信事業法に違反した場合は2年以下の懲役または100万円以下の罰金ですが、電気通信事業に従事する人が違反した場合は3年以下の懲役または200万円以下の罰金が科されます。
有線電気通信法では有線電気通信の設備使用や秘密保護、通信妨害について定められています。
盗聴器を仕掛けるために有線電気通信設備を壊したり、改造したりすること、また電話など有線通信設備の機能に障害を与えたりすると罪に問われます。
また、電話の通話内容を盗聴し、その秘密を他人にもらすことも刑罰の対象になります。
有線電気通信設備の損壊や機能障害、妨害などをした場合は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。
有線電気通信の秘密をもらした場合は、2年以下の懲役または50万円以下の罰金になります。
盗聴で知った個人の秘密や他人に知られたくない情報を、インターネットで公開することなどがプライバシー侵害罪に該当します。
一方、憲法では「知る権利」も保障されているため、どこまでがプライバシー侵害にあたるかは判断が難しいところです。
なお、プライバシー侵害罪は刑事的な側面と民事的な側面で考える必要があるため、法律の専門家に相談されることをおススメします。
盗聴行為そのものは犯罪とはみなされませんが、盗聴をきっかけに次のような犯罪が起こることがあります。
盗聴した犯人が相手の行動を把握してストーカー行為に及ぶことがあります。ストーカー目的で盗聴器を仕掛けることもあれば、たまたま盗聴したことで相手に興味を持ってストーカーに発展することもあります。
いずれにしても、ストーカー行為は「ストーカー規制法違反」に該当します。
ストーカー規制法はストーカーによる凶悪な犯罪が増えたことで制定されました。対象となるのは次のような行為です。
つきまとい等 | ・つきまとう(尾行) ・待ち伏せ ・進路に立ちふさがる ・見張る ・押しかける ・周辺をみだりにうろつく |
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ストーカー行為 | ・監視していると告げる行為 ・面会や交際の要求 ・乱暴な言動 ・無言電話、連続した電話、FAX、メールの送付など ・汚物などの送付 ・名誉を傷つける ・性的しゅう恥心の侵害 |
盗聴することでその人の行動(いつ、どこに出かけるかなど)を知って、待ち伏せや尾行、監視していると告げるなどのストーカー行為を行う可能性があります。
ストーカー被害に遭った場合は警察に相談しましょう。
空き巣は入りやすい家を狙っていて、一度空き巣に成功した家に再び侵入する可能性があります。しかも、侵入した際に盗聴器を仕掛けるケースがあるのです。
家族の行動を盗聴して、留守の時間帯を狙います。空き巣は窃盗罪と住居侵入罪に該当します。
もし空き巣に入られたら鍵を交換するなどの防犯対策をすると同時に、盗聴器が仕掛けられていないかよく調べてみましょう。市販の盗聴発見器を使うのもいい方法です。
最近の盗聴器は小型化しているので、見慣れないモノがあったり、家具を動かした形跡があったりしたら要チェックです。
盗聴して知り得た情報を元に相手を脅迫すると、脅迫罪に問われます。
例えば、「浮気していることを奥さん(またはご主人)にバラしますよ」などの場合です。脅迫は浮気以外にもビジネスの場面でも起こり得ます。
これらは犯罪行為なので、被害に遭ったら速やかに警察に相談してください。
盗聴の行為そのものは犯罪には問われませんが、盗聴器を仕掛けるために他人が勝手に家に入ると住居侵入罪に、設置する際にモノを壊したり傷つけたりしたら器物損壊罪に問われます。
また、電波法や電気通信事業法などに違反するケースもあり、それぞれに刑罰が科されます。
一方、盗聴で知り得た情報を元にストーカー行為や脅迫、空き巣などの犯罪被害に遭うこともあります。最近はこれらがきっかけで重大犯罪に発展することもあるので注意が必要です。
少しでも不安な点があれば、警察など専門機関に相談しましょう。