水漏れのお悩みを解決
このページで分かること
マンションで水漏れ事故が起こったとき、原因が自分であれば、当然責任が降りかかってきます。被害者がいれば、賠償責任も生じるでしょう。しかし火災保険に加入していれば、費用を保険金でまかなえる可能性があります。
火災保険とは、火災・爆発・自然災害などにより、保険の対象となる建物や家財が損害を被ったときに補償を受けることができる保険です。火災保険は保険の対象ごとに加入する仕組みとなっています。
例えば、火災や自然災害などで建物も家財も失くなってしまったとしても、建物のみ火災保険に入っていた場合は、家財の補償までは受けることができません。それとは反対に、家財のみ火災保険に入っていた場合は、建物の補償を受けることができません。
建物と家財のどちらも補償を受けたいと思うのなら、両方とも保険に申し込む必要があります。ただし賃貸の場合、建物は自分のものではありませんから、家財のみ保険に入ればOKです。
その代わり部屋に損害を与えてしまったときのために、貸し主への損害賠償を補償するオプションは付けておいたほうがいいでしょう。
火災保険の補償には、主に以下のような種類があります。
これらの中から、必要と判断した補償を組み合わせて申し込むことになります。盗難・騒じょう・水漏れ・飛来・落下・衝突は、個別の補償になっていることもあれば、一括りになっていることもあります。この中でも特に水漏れは、マンションなど集合住宅に住む人には特に欠かせない補償です。
なぜなら集合住宅で水漏れ事故が発生すると、ほかの部屋にまで水が漏れてしまったり、逆にほかの部屋から水が漏れてきたりと、戸建てよりも大きなトラブルに発展する頻度が高いからです。特に築30年以上の古い物件ほど、水漏れ事故によるトラブルが発生しやすいでしょう。
マンションで水漏れ事故が起こった場合、まずは原因を調べましょう。なぜなら水漏れ事故の原因によって、誰が責任を取らなければならないのか、どの保険が適用されるのかといったことが全く異なってくるからです。
上階から水が漏れてきたとしても、必ずしも上階の住人が水漏れを起こしたとは言い切れません。共用部分の劣化などが原因で水漏れが発生した場合もあり、そのようなときは上階の住人ではなく管理組合の責任となります。また水漏れの原因によっては、火災保険が使えないケースもあり得ます。
いずれの場合にせよ、まずは原因を特定する必要があります。そのためには上の部屋に立ち入り調査をする必要がありますが、1人で上の部屋を訪ねるとどちらかが感情的になってしまい、口論に発展する可能性があるので、大家さんや管理会社の人と一緒に行きましょう。
上階の住人が水漏れ事故を引き起こし、被害を受けた場合、上階の住人に責任を取ってもらうことになります。上階の住人が加入している火災保険から補償が行われることが多いので、保険会社や管理組合を通じて交渉を行うといいでしょう。ただし、保険金で補償されるのは時価額です。
時価額とは、経年や使用によって減少した価値を購入額から差し引いた金額のことを指します。もっとわかりやすく言えば、現在の価値のことです。例えば、3年前に購入したテレビが上階からの水漏れによって故障したため、弁償してもらうことになったとします。
このとき、テレビは新品だった3年前よりも価値が下がっているため、補償される金額は購入したときの価格よりも低くなってしまいます。そのため保険金だけでは、同程度のスペックのテレビを新品で購入することはおそらくできないでしょう。
新品の購入価格と時価額の差額を加害者に請求したくなるかもしれませんが、加害者にはそれを支払う義務は法律上ありません。しかし自分も火災保険に加入している場合、その保険で新品の価格と時価額の差分を補償してもらうことは可能です。
自分が原因で水漏れ事故を引き起こしてしまった場合、自己負担で修理しなければならないのはもちろんですが、階下に水漏れした場合は被害者への賠償もしなければなりません。
壊れた家電製品や濡れた布団、天井・床・壁のリフォーム代などを弁償します。しかし被害者への賠償については、たいていの場合、火災保険から下りる保険金で対応可能です。
被害者である階下の住人が、保険会社の補償額に納得がいかなかった場合、また保険会社の対応が遅いなどの理由で不安を覚えた場合など、あなたに直接賠償を要求してくる可能性があります。
特に家財が購入時の価格ではなく、時価額だけしか補償されないという点に不満を抱いているケースはとても多いです。「差額を全額支払います」といった誓約書を書くようにと要求されることも、あるかもしれません。
このようなとき、被害を与えてしまったという罪悪感から、相手の要求を呑んでしまいそうになるかもしれませんが、安易に応じないようにしてください。加害者になった以上、誠意のある対応をしなければならないのは当然ですが、下手に出て何でも言いなりになってしまうのは考えものです。
時には毅然とした態度を取らなければ、相手の要求はどんどんエスカレートしていき、手に負えない額になってしまうかもしれません。かと言って、突っ撥ねるような言い方をすれば相手の感情を逆なでしてしまいます。
ですので何か要求されるようなことがあれば、とりあえず「保険会社に訊いてみます」と答えておくのがベストです。大きなお金が関わる問題なので、素人だけで交渉を行うのは危険です。必ずプロに相談し、自己判断で交渉を進めないよう気をつけましょう。
共有部分の劣化などが原因で水漏れ事故が起こり、被害を受けた場合、管理組合や大家さんに賠償してもらうことになります。たいていは管理組合が加入している火災保険で補償されるでしょう。
ただしマンションによっては、共有部分の持ち分を住人個人に割り振ることもあります。詳しくは規約を確認しましょう。
雨漏りが水漏れ事故の原因だった場合、補償されるかどうかは雨漏りの発生原因によって変わってきます。
雨漏りの発生原因が建物の老朽化であった場合、予測できた事態であるにも関わらず補修を怠ったということになるので、普通は補償を受けることができません。
しかし台風など突然の自然災害で屋根が破損し、雨漏りが発生した場合、補償されることが多いです。ただし水漏れ補償ではなく、風災の補償となります。
マンションの水漏れ事故の原因がわからないときは、管理組合の火災保険に附帯している原因調査費用というオプションを利用するのがおすすめです。
原因調査費用は、個人で加入している火災保険に附帯することはあまりありませんが、マンションの管理組合が加入する火災保険には、附帯していることが多いです。
上階の住人が火災保険に加入していれば、保険金で賠償してもらうことが可能でしょう。しかし、上階の住人が必ずしも火災保険に加入しているとは限りません。
その場合、上階の住人から直接賠償してもらうことになりますが、中にはこちらからの請求を突っぱねたり、賠償するだけのお金を持っていない人もいるでしょう。
加害者が賠償に応じてくれないときに役立つのが、自分で加入している火災保険に附帯している水漏れ補償です。水漏れ補償は、自宅の給排水設備の破損やつまりのほか、他人からもたらされた水漏れ被害まで補償の対象となっています。
たとえ加害者の住人が火災保険に入っていなくても、自分が加入していれば、ある程度の補償は受けることができるでしょう。
明らかに上階の住人に非があるにも関わらず賠償に応じてくれないとき、どうしても納得できないのなら、弁護士など法律の専門家に相談するのも一つの手です。しかし事を大きくすれば、その後の近所づきあいに影響を及ぼすのは避けられないでしょう。
上階の住人だけではなく、噂を聞いた他の人からも「関わりたくない人」というレッテルを貼られる可能性はあります。
近所づきあいが希薄な時代になったとはいえ、外に出れば顔を会わせることはあるでしょうし、災害が発生したときなど緊急時には助け合いが必要となってきます。被害が小規模なものであれば、目を瞑っておいたほうが自分のためになる場合もあります。
壁や天井といった部分の損害は、マンションによっては火災保険ではなく、建物保険の範囲になることもあります。詳しくはマンション管理組合に連絡し、確認することをおすすめします。
示談交渉サービスとは、思わぬトラブルを引き起こし賠償責任が生じたときに、示談交渉を行ってくれるサービスのことです。示談交渉サービスが附帯するかどうかは、保険によって異なります。
マンションなどの集合住宅に住んでいる人は、水漏れ事故で近隣の人とトラブルに発展する可能性が高いため、示談交渉サービス付きの保険を選ぶことをおすすめします。
水漏れ事故に限った話ではありませんが、お金が絡むトラブルが発生したとき、加害者も被害者も感情的になりやすい状態となっています。
冷静に話し合いをするのは難しいですし、お互い精神的に消耗してしまうことが予想されます。あらかじめ示談交渉サービスに申し込んでおき、話し合いは第三者に任せるのが、最もスムーズで労力も少なくて済むでしょう。
保険金の請求を自分で行うときの大まかな流れです。実際は保険会社によって異なるので、参考程度にご覧ください。
遅滞なく保険会社に連絡し、水漏れ事故が発生したことを伝えましょう。その際、以下の情報を訊かれるかもしれないので、すぐに答えられるように準備しておくとスムーズです。
事故が起こってから慌てることのないよう、保険会社の連絡先を紙に書き、よく見える場所に貼っておくと安心です。
契約内容を確認した担当者から連絡が来ます。今後の流れや保険金の請求に必要となる書類、注意事項などについて説明されるでしょう。
その後、水漏れ事故の被害者にも保険会社から連絡が入ります。
火災保険で対応可能だと判断された水漏れ事故は、保険会社から以下のいずれかの方法で調査され、補償金額が決定されます。
被害額が高額になりそうな場合 | 立会調査される可能性が高い |
被害額が少額で済みそうな場合 | 写真見積もりで済ませることも |
被害額が高額になりそうなときは、保険会社の社員や鑑定人などが実際に現地に来て、被害状況を確認する可能性が高いでしょう。反対に被害額が少額なときだと、被害状況を撮影した写真だけで判断することも多いです。
そのため水漏れが発生したときは、被害状況・修理工事中・修理工事完了後の写真を撮影しておきましょう。業者によっては火災保険に加入している旨を伝えると、率先して写真撮影を行ってくれる親切なところもあります。
示談が成立すれば、保険会社から保険金の支払いについて連絡が入ります。同意すれば、保険金が支払われるでしょう。
マンションなどの集合住宅の場合、たくさんの人が生活しているため、戸建てに比べると水漏れトラブルの発生頻度がとても多いです。故意ではなくても、水漏れ事故の加害者になってしまう可能性は高いでしょう。
水漏れ事故はいつ起こってもおかしくないので、できるだけ早急に必要となる補償を申し込んでおいたほうがいいです。保険会社によっては、ここでご説明した内容とは異なる可能性があります。必ず契約前に内容をよく確認することが大切です。